日日雑記
emi



 ベテランの貫禄が

彗星のような新人を圧倒した感がありました、今宵の女子フィギュアスケート全日本選手権最終日。全員をオリンピックに連れていきたいくらい粒ぞろいで、本番より選考水準が高かったのではないかと思えるほどでした。

優勝した村主選手の選曲はラフマニノフのピアノコンチェルト第二番。シーズン前の故障で苦しい思いをした彼女は、フィギュアにかける自分の「光と影」をこの曲に託したとききます。
ラフマニノフは前作のピアノコンチェルト第一番が散々に酷評され、それが元でひどい神経症に陥りました。しかし優れた精神科医にめぐりあって自信を取り戻し、発表した第二番で大絶賛を浴びた経緯があります。
村主選手がそこまで踏まえて選曲したかは分かりませんが、なんて象徴的なんだろうと思い、瞬間彼女の成功を確信しました。すべての力がひとつに収束してゆくのが目に見えるようだったからです。


浅田選手の年齢問題で最後の最後まで揺れた選考でしたが、村主、荒川、恩田各選手らの気迫と底力に、誰もが納得の結果が得られたように思います。
女子フィギュア界の会長(?)さんによる「今まで長い時間をかけて培われてきたものを、(年齢制限の)規則を引っくり返してまで新旧交代する意義が本当にあるのか」という発言への答えが、形になって現れたかなあと。古臭い、頭が固い、保守的だと非難されるものにも、必ず一理あるのです。
浅田選手の存在が他の選手への起爆剤になったことは間違いなく、今回の彼女の価値はそこにこそあると拍手を送りたいです。

選手の皆さん、おつかれさまでした。
素晴らしい演技でした。
聖なる夜に涙あふれさせてくれてありがとう。




2005年12月25日(日)
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