L市から車で20分ほどの、 その美しさで欧州ナンバーワンにも選ばれたという、 古くて小さな町に行ってきた。
歩いてみて納得。 うん、とっても賞をとりそうな町って感じ。 『霧のむこうの小さな町』が現実になったような。 なんと言えばいいんだろう、 田舎は田舎なんだけど、いちいち小洒落ているというか… 家並みがきれいなので被写体にもうってつけだし。
その町にある、とある教会を訪ねた。 中から案内役の修道士が出てきたのを見て、 同行のフレンチ嬢と「薔薇の名前だ…」と囁きあう。 ショーン・コネリーよりも解脱してたけどさ(笑)
そこの図書館に、古書が展示されているというので、 特別に見せてもらった。 四方の壁を全て使った書棚に、 昔の書物がぎっしりうまっている。 中でも貴重なものは、ガラスケースに収まっていた。 まだ活版印刷の技術がなかったころの本。 コージ苑は別に収集家じゃないけど、 あの手作業の緻密さには、 強烈に人をひきつけるものがあると思うのだ。
本棚に並んだ書物の背表紙を読んでみる。 ラテン語なので、なんとなく分るのが嬉しい。
コージ苑「ええと、神学…」 フレンチ「こっちは道徳、じゃないですか」 コージ苑「ということは、神学道徳論、ってところでしょうか」 フレンチ「そうだね、きっと」
二人 「…つまらなさそー」
しかも重いし。 表紙が木製のものならなおさら重量があっただろう。 勉強のためにこれを持ち歩かなきゃならないとしたら、 コージ苑なら、それだけできっと挫折する。 中学、高校時代に、 辞書3冊持っていくぐらいでぶーぶー言ってたんだから。
それにしても大雑把というか、 修道士のおじいさん、 いとも無造作に見える手つきで本を取り出し、 「持ってみろ」とか言うのだ。 コージ苑たち、素手だったんだけどよかったんだろうか。
書物の神様、手から入ってきたかしら。 (ますます活字中毒になるってことじゃないかい、しかし)
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