出向コージ苑

2004年11月27日(土) 古書

L市から車で20分ほどの、
その美しさで欧州ナンバーワンにも選ばれたという、
古くて小さな町に行ってきた。

歩いてみて納得。
うん、とっても賞をとりそうな町って感じ。
『霧のむこうの小さな町』が現実になったような。
なんと言えばいいんだろう、
田舎は田舎なんだけど、いちいち小洒落ているというか…
家並みがきれいなので被写体にもうってつけだし。

その町にある、とある教会を訪ねた。
中から案内役の修道士が出てきたのを見て、
同行のフレンチ嬢と「薔薇の名前だ…」と囁きあう。
ショーン・コネリーよりも解脱してたけどさ(笑)

そこの図書館に、古書が展示されているというので、
特別に見せてもらった。
四方の壁を全て使った書棚に、
昔の書物がぎっしりうまっている。
中でも貴重なものは、ガラスケースに収まっていた。
まだ活版印刷の技術がなかったころの本。
コージ苑は別に収集家じゃないけど、
あの手作業の緻密さには、
強烈に人をひきつけるものがあると思うのだ。

本棚に並んだ書物の背表紙を読んでみる。
ラテン語なので、なんとなく分るのが嬉しい。

コージ苑「ええと、神学…」
フレンチ「こっちは道徳、じゃないですか」
コージ苑「ということは、神学道徳論、ってところでしょうか」
フレンチ「そうだね、きっと」

二人  「…つまらなさそー」

しかも重いし。
表紙が木製のものならなおさら重量があっただろう。
勉強のためにこれを持ち歩かなきゃならないとしたら、
コージ苑なら、それだけできっと挫折する。
中学、高校時代に、
辞書3冊持っていくぐらいでぶーぶー言ってたんだから。

それにしても大雑把というか、
修道士のおじいさん、
いとも無造作に見える手つきで本を取り出し、
「持ってみろ」とか言うのだ。
コージ苑たち、素手だったんだけどよかったんだろうか。

書物の神様、手から入ってきたかしら。
(ますます活字中毒になるってことじゃないかい、しかし)


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