年に二回の学科慰安旅行に、 両親ごと参加した。 前回はイタリア国境近くの町で散々ワインを飲み、 肝臓を傷めつけて帰ってきた。 それにもこりず、今回もワインツアーである。 行き先は西、白ワインで有名な地方だそうだ。
午前は山間の小さな町にある保養施設へ。 これは日本でいうところの、 健康ランドであろうか。 温泉プールや屋外プールがあり、 サウナ、スポーツジム、泥エステ等々、 ある種の女性にとってのステキ施設がいっぱい。 残念ながらコージ苑は、 諸般の事情により温泉プールには入れなかったため、 母親と一緒に数時間、 コーヒーを飲みつつくだを巻いていた。
昼食は、標高1000mのあたりにある、 農場が経営しているレストランで。 出てくる料理は、全てそこで作られたものである。 ワイン、たんぽぽのサラダ、鹿肉のステーキなど、 「山の料理」が盛り沢山。 デザートのケーキまでしっかり食べて、 この後ワインがどこに入るんだっていうぐらい満腹である。
食後の散歩がてら、農場を見学させてもらった。 ここは鹿の放牧もしているそうで、 鄙にはまれな(失礼)可愛い顔をした、 ここんちの息子ががんばって、 鹿の群れをコージ苑達の近くまで追い込んでくれた。 コージ苑もがんばってカメラのシャッターを押してみたけれど、 後で見たところ、ただの茶色い点が写っているだけだった。
恐ろしい事に、ここまでは全て「オプション」。 今日のメインは、午後4時も過ぎてからたどり着いた、 地下のワイン倉庫見学と試飲ツアーなのである。 スロ第二の都市は、古くから産業が盛んだったことで、 首都よりも豊かだった時代もあるとかないとか。 その町の中心部の地下には、ワインが眠っているのだ。
かびと酒精の匂いがする倉庫の中は、 目の届く範囲全て、ワイン樽で埋め尽くされている。 倉庫の全長は3km。 戦争中にはシェルターの役割も果たしたらしく、 そこに避難してくる人達は、 必ずワイングラスを持参した、という眉つばものの逸話付き。 ビンテージのワインの保管所を見たり、 スパークリングワインの製造方法を教えてもらったりと、 何だか社会見学のような気分になったところで、 オトナの時間(=試飲)である。
ここで製造されている代表的なワインを5種類。 コージ苑の隣りには、 この町出身、中国学科のシャオマヤ嬢がいたので、 つかまえて色々と解説してもらう。
キツネコレクターの父は、 あるワインのラベルにキツネがいたとかで大喜び。 聞けば、毎年行われるスキー大会のキャラクターだそうだ。 浮かれて二本も購入した父、もうノリノリである。
街の外れの高台にあるレストランで、 簡単に夕食を摂っての帰り道。 車内のほぼ全員がうとうとと舟をこいでいると、 いきなりバスが大きくゆれ、 最後部座席に座っていたコージ苑家族は、 はずみで跳ね上げられて、 バスの天井に頭をぶつけてしまった。 あっと思った時には既に遅く、 三人揃ってむちうち症である。
最後の最後についてないよ、うちら。 でもまあ、バスの運転手さんが、 責めるのも哀れになるほど心配そうにしていたので、 まあいいや、と流してしまったコージ苑達は、 まるっきり「3人の優しい日本人」である。
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