島流しにあう罪人の心境で、 空港へ向かうコージ苑だったが、 やはり今日から日本出張のベケ教授と偶然一緒になり、 空港でコーヒーをおごってもらったので、 ちょっとだけ気分が良くなった。 相変わらずのゲンキン野郎である。
今回のルートは、スロ→ウィーン→ストックホルム。 途中、旅行者の女性と立ち話を交わしたりして、 待ち合わせ時間の退屈は幾分解消できたものの、 やはり気分は「快晴」にはならない。
こうなったら、ついでに観光して楽しんじゃおう、 という心境になったのは、 ストックホルムに向かう飛行機の中。 市内上空を飛んでいるとき、 窓から見えた夜景がきれいだったのである。 点在する島ごとにまたたく光の群れを眺めていると、 それがアメーバの様に形を変えていきそうな錯覚に陥る。 想像していたよりもひっそりとした町の光に、 なんとなくほっとしたコージ苑だった。
さて、飛行機を降りたとたんに、 EUを実感させられた私である。 パスポートチェックがなかったのだ。 未だEU外のスロからオーストリアに入った時には、 パスポート審査があってスタンプをドンと押されたのだが、 国境協定だか何だかで、 それ以降EU内を移動するなら、 チェックはないらしい。 ちぇ、スウェーデンのスタンプ欲しかったな。
空港から市内へ向かうシャトルバスに乗る。 片道で800円ぐらい。 ううう、やっぱり高いよう。 時間にして約50分、中央駅のターミナルに到着。 そこは都会だった。 徹底的に都会だった。
旅行会社がくれたホテル周辺の地図が、 あまりにも「周辺」すぎたもので、 駅からの道がわからない。 改札口で警備をしていたお兄さんに、 おそるおそる「この道に行きたいんですが…」と言ってみると、 見事なほど流暢な英語で答えてくれた挙句、 わざわざ外に出て説明してくれた。 ・・・かーんーどーうーしーたー。 しばらく「警察=一般人は無視」という国にいたもので (平たくいえばL国である)、 思わぬところでスウェーデンの株をあげてしまったコージ苑。
ホテルでチェックインする前に、 夕食を調達せねばなるまい。 しかし、今回の旅行でレストランは破産を意味する。 どうしよう…ときょろきょろする目にうつったものは! うつったものは!!
セブンイレブンじゃないですか!!
かーんーどーうーしーたー。 セブンイレブンですよ。 コンビニですよ。 明太子おにぎりですよー!←無いから はやる心を抑えつつ、店内に入る。
おおお、これぞコンビニという風景。 さて、何にしようかなと見回し、とりあえずビール。 今日はデンマーク製のやつ。 それから、テイクアウトのタイヌードル。 鼻ピアスした店員のお兄さんに頼むと、 この一言が。
「あたためますか?」
…………あたためて!ついでにコージ苑の心も!! なんてベタなことは言いませんでしたけどね。
かーんーどーうーしーたー。
コンビニでこの始末では、 帰国してファミレスにでも行った日には、 コージ苑泣いちゃうかもしれない。
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乙川優三郎『蔓の端々』講談社文庫 今回の両親文庫の中に入っていた一冊。 時代小説なら、今はこの人だとコージ苑は思っている。 このお話は、執政に関わる人々(大木)に翻弄される、 下級武士(=大木に寄るしかない蔓)の生き方を書いたもの。 この人の作品を読むといつでも感じることだが、 大木を組織の上層部に、蔓を下層部の人々に置き換えれば、 現代の話として、そのまま通じるのだ。 時代がかわっても、やってることは同じってことかしら。
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