Dのこと - 2002年12月15日(日) 20年も会っていない幼なじみの男の子が亡くなった。 生まれつき心臓が悪くて、 私の記憶の中で彼はいつも紫色の唇をしている。 私が最後に会ったのは、小学校に上がってからだ。 私が引っ越してしまっていたので、 そのとき会うのは久しぶりだった。 私、そのときちょっといやだった。 私の方がひとつ年下なのに、 明らかに私の方が大きくなっていたから。 自分のつやつやのほっぺがいやだった。 もっと健康だったら、ほんとはあなた、 こんなふうになっているんですよ。 自分の存在がそう言っているみたいな気がした。 そのあとの数回の引越しで あまり行き来がなくなって、それ以来私は会っていない。 だから私が知っている彼は、ひょろっとした少年のままだ。 彼がそのあと何度も死にかけたこと、 もう何年も生きられないと言われながら、 何度も何度も持ち直したこと、 パソコンを手に入れて、家の手伝いをしながら過ごしていることなど、 風のたよりののようにきいていた。 29年生きた。 お参りに行ったら、私が子どもの頃、 いっしょにうつった写真も きれいに整理されて壁に貼ってあったと母が言っていた。 -
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