愚者
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2006年10月29日(日) 脱却

 娘が大学に合格し、ひとつ肩の荷が下りた。
思い起こせば6年前に、鬱の症状が現れ
3年前までは、毎日が闘いだった。

 何とかして、立ち直れるように自分が
経験してきた良いこと、悪いことを話した。
悪いことばかりではないが、良いことばかりでもない。
望みが大きければ、それを失ったときの悲しみも大きい。
でも望みのない人生などは、味気ないものである。

 自分の言葉の足りなさを実感しながら
人に、それも血のつながった自分の分身にでも
思いが伝わらないもどかしさを感じた日々だった。

 様々な思いが交錯し、まだ彼女に対しては
不安を持っているが、今は素直に喜びたい。
失われた3年間を、彼女は後悔していない。
私自身は3年間でかなり老け込んだと思う。

 やっと3年間の苦悩から抜け出されると思う。
すでに彼女は立ち直っているが、形として
それを信じても良いという気になり、私の
失われた日々は、娘とのいい思い出に変わるだろう。
ここからは彼女次第だが、もう少しだけ見守っていたい。
本当にひとり立ちできる日が来るまでは。


誠幻