愚者
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2006年03月17日(金) 残酷な記憶

 以前、女性に溺愛されたことがある。
付き合い始めた頃は、彼女の気持ちが嬉しく
「もし別れても、ずっと恋人のような関係でいてね」
「本気で人を好きになるってこういうことなのね」と
言われて、有頂天になったものだ。
私も真剣に彼女のことを愛し始めていた。

 しばらく付き合っていくと、彼女の気持ちが
私より、遥かに強いものだと気付き始めてからは
次第に自分には重たく感じ出した。

 ついつい、態度に出てしまい、彼女がそれを
察して「もう会わないほうがいいわね?」と切り出した。
内心、ホッとして安堵の笑顔を見せたのがいけなかった。

 しばらくして、自分の罪の意識に苛まれ、ちゃんと
彼女に謝ろうと思い、電話してみたが、彼女の反応は
とても冷ややかだった。
「あのときの安堵の表情は付き合っていたときに初めて見た顔だった」
と言われたときは、言葉を返せなかった。

 その後、彼女とは会っていないし、連絡もとっていない。
もし、どこかで会ったとしても、あの頃のような顔では
話せないだろう。
残酷な記憶が強く残っている限りは。


誠幻