ムッキーの初老日記
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昔は、ホラー映画が大好きだった。 若い頃の一時期、レンタルビデオがタダでいくらでも借りられる環境のいた頃など 毎日のように見ていたし、それ以降も、話題のホラーは結構見ていた。
それがここ数年、いつの頃からかよくわからないけれど 全然見たくなくなって、TVでやるホラー映画のCMさえ
「うわー!いやだいやだ!こんなの見たくないよ〜 なんでTVでこんなシーン流すんだよ〜寄って来たらどうすんだよ」
と目をそらしていた。 そんな私が、これはなんとなく見てみたいなーって思っていたのが
「エミリーローズ」
ストーリーはいろんなサイトで確認できると思うので書かないが 本当に簡単に言うと、 悪魔にとりつかれて死んだ少女(といっても19歳) エミリーローズの話を基にした、実話。
怖いというより、なんだかせつない。
どうしてエミリーが・・・って悲しさと エミリーは立派だったなという気持ちと 今彼女は安らかだろうか、という感傷。
キリスト教圏の映画なので 「悪魔」「キリスト」「天使」「マリア様」 で作られているけれど 悪魔=悪霊や死霊と同意語だろうし キリスト=仏様や神様など、大いなる存在と思えばわかりやすい。
一番印象に残っているのは 悪魔にとりつかれ、身も心もボロボロになったエミリーが ある夜明けに、マリア様の声を聞く、というところ。 マリア様はおっしゃる。
「エミリー、あなたのつらさは神はみなご存知です。 もし、つらくてもう耐えられないなら 肉体を脱ぎ捨てて、私と一緒に来ますか?」
エミリーは聞く。
「マリア様、どうして私はこんなことに・・・?」
「あなたを通して、人は悪魔の存在 神の存在、目に見えないものの存在を知ることでしょう」
その答えを聞いてエミリーは
「いいえ、私はこのままいます」
と、せっかくの救いの手をとらない。
自分に課せられた責務を全うしようと、苦しいだけの肉体に戻って 死ぬまで苦しみ続け、そして力尽きて死に、やっと神の身元に召される。
そのエミリーの心に感動した。 私だったら「いくいく!すぐ連れて行ってください!」と 肉体を投げ捨ててしまうよ。きっと。
暗くて、陰鬱で、ぞっとして、悲しい映画だったが 見てよかったなぁと思えるのは、このエミリーの心根に 触れることができたからだと思う。
選ばれしものの恍惚と悲しさ。 そんな言葉が今、私の心の中に、浮かんでは消えている。
+・+・+ オッサン君春のパン祭り+・+・+
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ムッキー
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