ムッキーの初老日記
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水戸に「さくら通り」と呼ばれる道がある。
長さにしたら3キロ程だろうか。緩やかなのぼりくだりが続く道で
その両脇に桜の木が並んでおり、桜の季節には、それはそれは見事な桜のトンネルが出来る。
毎年時期になると、用もないのにその道を通り、えも言われぬ風情を楽しんだ。
だがそれも去年まで。
今、道路拡張の為その桜の木の伐採が進められている。
話には聞いて寂しい気分ではいたが、見ていないので実感がなかった。
そして先日、その通りを通る機会があった。
・・・一番端の桜から、なくなっていた。
真っ白いきれいな切り株が、痛々しかった。
そしてもっと痛々しかったのが、次に切り倒されるであろう、隣の桜だった。
その木が切り倒されるのは、明日かもしれない、明後日かもしれない。
だがその木には、固いつぼみが、たくさんついている・・・。
人であったら「もう花なんて咲かせてなんになる」と営みを止めてしまうかも知れない。
だけどその桜は、いやその隣の桜も、その隣も、みんなみんな。
明日の自分の命の事など気にも留めずに、懸命に、咲こう、咲こうとしているのだ。
最後のその瞬間まで、精一杯生きている。
花が咲く前に切り倒される運命なのに、それでも生きる事をやめない。
いのち、輝く。
桜の木の健気さと、あまりに悲しい現実に、運転しながら涙が止まらなくなった。
もう、しばらくこの道を通るのはやめよう。
+・+・+ 水戸の裕次郎ことオッサン君 +・+・+
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ムッキー
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