ムッキーの初老日記
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何年か前、友人に夕飯をご馳走してもらった時の話。 ちょっと彼女に協力したことがあって そのお礼にご馳走するよ!という事になったのだ。
メンバーは、ご馳走してくれる友人ケムと オッサン君と私と、友人ひっぽの計4人。
「この前はホントに助かったよ、ありがとうねー。 さあさ、何でも好きなの頼んでね。」
と、ケム。私達はそれぞれ好きなものを注文した。
「そっちも美味しそうだね、ちょっと食べさせてね」 「いいよ。そっちもね♪」
初老にもなると、人におごる事はあってもおごられる事は滅多になく お会計を気にしない食事など、そうそう出来る物でもないので 私達もひっぽも、キャッキャと盛り上がった。
だが運ばれてきた物を食べ始めたら みんなのテンションが一気に盛り下がってしまった。 なぜなら、どれもこれもまんべんなく
マズイのだ。
なんか違う。そこはかとなくマズイ。 私のだけがハズレなのか? 否。何気ない風を装い、みんなの顔を見渡せば 全員「( ̄▽ ̄;)マズ・・・」という顔をしていた。
「なんか、あんまり美味しくないねえ?」 と、ケムが言い出した。ケムは人一倍【気にしい】なのだ。
人にご馳走してもらってマズイと言うのは失礼である。
という躾が身についている私とひっぽは 「いやいや、そんなことないよ〜、ねえ?」 「うんうん。美味しいよ?大丈夫だよ〜」 と、フォローした。 「そう?」 「そうだよ〜、気にしないでよ〜ハハハ!」 「ははは・・・」
・・・・・・・・
そんなこんなで食事も終わり、ケムが会計を済ませ外に出た。 「ケムちゃん、ご馳走様!」 「ありがとねー!」 「ごっさん〜。」 みんなで礼を述べる。 「いえいえ、安いものでゴメンネ〜。」
そしてオッサン君の車にみんな乗り込み、帰路に付こうとしたその時 それまで味について何も語らず、黙々と食べていたオッサン君が言い放った。
なんかマズかったよなあ、今の店(・ε・)
Σ(゚口゚;) Σ(゜ロ゜) Σ(;゜□゜)
その後ケムは落ち込み、私とひっぽが必死でフォローしたが 時すでに遅し、であった。
ケムと別れた後、私はオッサン君を非難した。 「あんたね、人におごってもらってマズイって言うな!」 「えー。だってマズかったろうよー。 おごってもらった事は感謝してるけどさー、マズイもんはマズイよー。」 「んなの皆思ってたわ!だけど言わんのが大人だろが!」 「そうなのかー」 「そうだ!!」
マズイ物を、マズイと言えず必死で食べた私とひっぽ。 おごったのにマズイと言われたケム。 マズイものを素直にマズイと言い、妻に説教されたオッサン君。
誰にもいい事がなかった、パッとしない夜の思い出だ。
◇◆ご存知オッサン君◇◆
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ムッキー
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