取調室の床いっぱいに落ちた、無数の羽根のような感情の残滓。一美の掌から舞いあがった心の断片。嘘と真実。武上の目の裏で、そのイメージが、頼りない蝶の羽ばたきと重なった。寄る辺なく孤独で、まっ白で。宮部みゆき:R.P.G.,p.293,集英社.