好き好き言われて戸惑う。甘い言葉を簡単に口にするから、つられて思わず、好き、と言ってしまった。電話越しに、息を飲むのが解って、途端に柔らかな声が聞こえた。少し高い声。独特のイントネーション。相槌の癖。知っていることが増えていくのは、なんだか恐怖に近い気がした。なんでも言ってね、なんて。なんでも言えるわけがないのに。素直な人。なのに、また似たような女を好きになって。ほんと、バカね。