猫の足跡
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2003年05月03日(土)

 今日は、昨日買ったパンやハムで、お弁当を作るところから一日の開始。

 出掛けに、絵葉書をホテルのフロントで出そうとすると、1通あたり0.2EUROのマージンを取ろうとするので、「高い」と断る。切手にマージン乗せるって、感覚的にちょっと許せないなぁ。

 部屋で作ったお弁当(ハムとチーズのボカティージョ、自信作)と、飲み物(パックのオレンジジュース)、オレンジなどをリュックに担いで、昨日と同じようにサーキットに向かった。今日も電車は空いていたけれど、昨日よりはちょっぴりサーキットの人が多いように思える朝の風景。気持ちが良いので、午前のフリー走行は、芝生の自由席から見ることにする。1コーナーからのS字を上がってくるマシンをテレビカメラと同じ低いアングルで見ることのできる、自由席とは思えぬよい場所を昨日発見したのだ。当然のことに結構先客がいて、座るのはちょっと厳しい状態だったので、しばらく立って見ていると…。

 前に座っていた若い男の子が、「ここに座らない?」と場所を空けてくれるではないか!

 「あ。ありがとう」と思わず座ってしまった私。相手はどう見ても20歳になるかならないかの少年で、これまで声をかけてきた男の子の中ではバレンシアの本屋の兄ちゃん(あ、本屋の兄ちゃんネタは書いてなかったか…?眼鏡の似合う青年だった)に並ぶ極上品(白状すれば、これまで声かけてきたのはみんなどう考えても明らかに年下ばっかりだったなあ)…。
 こっちの子は、みんな非常に女性に優しいのだが、彼も同様で「アメ食べる?」「レープロ見る?」「どこからきたの?学生?云々かんぬん」と、スペイン語と英語のごちゃまぜながら、話題を選んでレース観戦と会話の両方を楽しませようとしてくれるのがうれしい。名前はダニエル君(“ダニ”ね)で学生さん、シューさんとフィジケラのファンなんだって。「もちろん、アロンソは応援してるよ、地元だから。でも彼は北部の出身なんだよね(たぶんそう言った)」だそうですが。いやー、おねぇさん、まじで食っちまおうかと頭をくらくらさせながら真剣に考えてしまった。

 このまま同じところに座ってたら、帰りにはお手手つないで仲良くバルセロナにお持ち帰りもありだったかもしれないが、一応、30も半ばの女、かけらほどの理性はある…。このまま今日明日、スペイン語と英語のちゃんぽんで会話するのも疲れるし…。フリー走行2つが終わったところで、「じゃ、私行くね」と逃げてきた。「え〜、そんなあ」って顔しないでよ、ごめんよー少年。
彼にたくさんのキスを送ります。

 それにしても、いい場所だった。これなら雨さえ降らなきゃ指定要らないんじゃないか?と思うくらい。上り坂で地面を這い上がってくる車、そして、信じられない速さでコーナーを吸い付くように曲がって行く車。日本のサーキットでは近づいて見ることの出来ない場所から、レースカーを見ることが出来る。改めて、F1マシンの暴力的なまでの魅力・美しさを感じて、身が震えた。
 
【フリー走行2日目#1】
◇1 K・ライコネン    マクラーレン・メルセデス M 1’19.012    
 2 A・ピッツォーニア  ジャガー・コスワース   M 1’19.262 0.250
◇3 R・バリチェロ    フェラーリ        B 1’19.321 0.309
◇4 D・クルサード    マクラーレン・メルセデス M 1’19.463 0.451
◎5 M・シューマッハ   フェラーリ        B 1’19.504 0.492
 6 J・トゥルーリ    ルノー          M 1’19.515 0.503
◎7 H−H・フレンツェン ザウバー・ペトロナス   B 1’19.729 0.717
◇8 J−P・モントーヤ  ウィリアムズ・BMW   M 1’19.819 0.807
 9 G・フィジケラ    ジョーダン・フォード   B 1’19.840 0.828
◇10 R・シューマッハ   ウィリアムズ・BMW   M 1’19.846 0.834
 11 J・バトン      BAR・ホンダ      B 1’20.128 1.116
◎12 F・アロンソ     ルノー          M 1’20.131 1.119
 13 R・ファーマン    ジョーダン・フォード   B 1’20.298 1.286
 14 J・ヴィルヌーヴ   BAR・ホンダ      B 1’20.534 1.522
 15 M・ウェバー     ジャガー・コスワース   M 1’20.571 1.559
 16 C・ダ・マッタ    トヨタ          M 1’20.762 1.750
 17 O・パニス      トヨタ          M 1’20.820 1.808
 18 N・ハイドフェルト  ザウバー・ペトロナス   B 1’21.235 2.223
 19 J・フェルスタッペン ミナルディ・コスワース  B 1’22.074 3.062
 20 J・ウィルソン    ミナルディ・コスワース  B 1’22.607 3.595

【フリー走行2日目#2】
◎1 F・アロンソ     ルノー          M 1’17.670    
◇2 R・バリチェロ    フェラーリ        B 1’18.214 0.544
 3 J・トゥルーリ    ルノー          M 1’18.263 0.593
◎4 M・シューマッハ   フェラーリ        B 1’18.623 0.953
 5 O・パニス      トヨタ          M 1’18.985 1.315
◇6 K・ライコネン    マクラーレン・メルセデス M 1’19.012 1.342
◇7 D・クルサード    マクラーレン・メルセデス M 1’19.150 1.480
 8 J・バトン      BAR・ホンダ      B 1’19.159 1.489
 9 M・ウェバー     ジャガー・コスワース   M 1’19.172 1.502
 10 A・ピッツォーニア  ジャガー・コスワース   M 1’19.262 1.592
 11 C・ダ・マッタ    トヨタ          M 1’19.342 1.672
 12 J・ヴィルヌーヴ   BAR・ホンダ      B 1’19.525 1.855
◎13 H−H・フレンツェン ザウバー・ペトロナス   B 1’19.729 2.059
 14 G・フィジケラ    ジョーダン・フォード   B 1’19.773 2.103
◇15 J−P・モントーヤ  ウィリアムズ・BMW   M 1’19.819 2.149
◇16 R・シューマッハ   ウィリアムズ・BMW   M 1’19.846 2.176
 17 R・ファーマン    ジョーダン・フォード   B 1’20.298 2.628
 18 N・ハイドフェルト  ザウバー・ペトロナス   B 1’20.349 2.679
 19 J・フェルスタッペン ミナルディ・コスワース  B 1’21.945 4.275
 20 J・ウィルソン    ミナルディ・コスワース  B 1’21.960 4.290


 自分の指定席に戻ると、そこには、ザウバーのユニに身を固めた6人の集団がいた。おっさん5人、ねーちゃん1人。あれ、感じの悪いBMW軍団は?と思ったら、隣のブロックに移っていて、どうやら彼らは席を間違えていたらしい。

 今度の、ザウバー集団は、なかなか楽しい人たちだった。スイスから陸路9時間かけてきたそうで、ザウバーチームとシューマッハを応援しているとのこと。私が、「シューとアロンソ、フレンツェンの応援をしている」というと、「それなら仲間だね、一緒に見よう!」とビールをくれた。色々話をしてみると、スイスのルツェルンからきたのだそう。

 !ルツェルン!
 湖と山の美しい観光都市で、学生時代に行った忘れられない町だ。「湖に木造の橋がかかっていて、その柱にひとつずつ町の歴史について絵が描かれているのが印象的だった」などと当時の思い出を話すと、非常にうれしそうに「山と湖しかないけどね、きれいだっただろ〜」と喜んでいた。懐かしいなあ。アイスクリームがおいしかったなぁ。もう一回行きたいなぁ。

 そうこうしているうちに、予選開始。昨日の予選タイムが悪い順に走る。車の悪いミナルディはともかく、苦しんでいたフレンツェンが好タイムを出し、後続に抜かれないのがうれしくて隣のザウバー集団と喜び合った。このフレンツェン、ドイツ国籍だが、お母さんがスペイン人。ここまでは日本で仕入れた話。で、今日読んだ新聞で、そのお母さんがバレンシア人だと知った。彼も、10代のかなりをスペインで過ごしたらしく、バレンシアが大好きなんだと言っていた。じゃ、ひょっとしてサッカーはバレンシアニスタなのかな?と一人うれしくなる(←ただの馬鹿約1名)。

 ラルフ、JPMの二人も実力を発揮。そして!地元+ワタクシ期待のアロンソはなんと素晴らしい速さで、その時点のトップタイムをたたき出した!

 DCが2ストップ見え見えの怪しいタイムを出し、「これは明日も全ピットが終わるまでレースは見えないねぇ、キミはどうかなあ?」なんてザウバーおじさんと話をしていたら、そのキミ・ライコネンがコースオフ!圧倒的フェラーリ+アロンソファンで占められた場内からは大歓声が響いた。現時点でのポイントリーダーが、予選ノータイムで最後尾(ピットかな?)スタートになる、これはちょっとした事件だ。クールでクレバーな印象のキミだけど、まだ、こういうミスも時々ある。経験を積んでミスが減ったら本当に怖いドライバーになるだろう。バトン、パニス、トゥルーリは頑張るもののアロンソを抜けず、場内さらに大歓声。

 そして、最後の赤い2台はきっちり1−2。サーキット中が、ため息ともつかない歓声で覆われた。シューさんは新車F2003−GAで一人17秒台、強すぎる。ルールを変えても、天気さえしっかりしていれば、またもたシューさん一人旅の開始なのか?

 結果は以下のとおり。明日が楽しみだ。
 
【予選2回目】
◎1 M・シューマッハ   フェラーリ        B 1’17.762    
◇2 R・バリチェロ    フェラーリ        B 1’18.020 0.258
◎3 F・アロンソ     ルノー          M 1’18.233 0.471
 4 J・トゥルーリ    ルノー          M 1’18.615 0.853
 5 J・バトン      BAR・ホンダ      B 1’18.704 0.942
 6 O・パニス      トヨタ          M 1’18.811 1.049
◇7 R・シューマッハ   ウィリアムズ・BMW   M 1’19.006 1.244
◇8 D・クルサード    マクラーレン・メルセデス M 1’19.128 1.366
◇9 J−P・モントーヤ  ウィリアムズ・BMW   M 1’19.377 1.615
◎10 H−H・フレンツェン ザウバー・ペトロナス   B 1’19.427 1.665
 11 J・ヴィルヌーヴ   BAR・ホンダ      B 1’19.563 1.801
 12 M・ウェバー     ジャガー・コスワース   M 1’19.615 1.853
 13 C・ダ・マッタ    トヨタ          M 1’19.623 1.861
 14 N・ハイドフェルト  ザウバー・ペトロナス   B 1’19.646 1.884
 15 R・ファーマン    ジョーダン・フォード   B 1’20.215 2.453
 16 A・ピッツォーニア  ジャガー・コスワース   M 1’20.308 2.546
 17 G・フィジケラ    ジョーダン・フォード   B 1’20.976 3.214
 18 J・ウィルソン    ミナルディ・コスワース  B 1’22.104 4.342
 19 J・フェルスタッペン ミナルディ・コスワース  B 1’22.237 4.475
◇20 K・ライコネン    マクラーレン・メルセデス M ノータイム

 市内に戻ってから、ミロ美術館に行き、その後ランブラスを散歩した。ランブラスはF1帰りと思われる観光客で凄い賑わいだ(でも日本人はやっぱり2人しか見なかった)。機会があったら似顔絵描きに一枚頼んでみたいと思っていたのだけれど、どの人も商売繁盛だったのであきらめた。

 夕食は、ここのところパサパサしたものばかり食べているので、なぜか無性に「汁物」が食べたくなり、中華を覗いて見たが、メニューにあるのはヤキソバばかり。何故だろう…。仕方ないので、バルでタパスをつまんで終わりにする。明日はカン・ノウの帰りに、VISAジャパンのお兄さんに教わったラーメン屋にでも行ってみるか、と敗北宣言。ああ、年かしら?


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