ちちやす日記   こんげつぶんきのうあしたかこぶん


2003年03月17日(月) 春の月、梅の香りと機種変更(未遂)
 前の2台には愛着があって、叶うならばずっと使いつづけたかった。電池が駄目になったりなど、よんどころない事情で買い換えた。
 しかし、現在のPHSは、メール料金節約のために、たまったポイントで取り替えたもので、愛のカケラも抱けやしない(ひでえ)。機種変更したくてたまらづ、今日するぞ今日こそするのだするんだったら! とココロに誓う。いったん帰宅、荷物を置いて、「さくらやとビックカメラ、どちらにしようかなあ」などと浮かれながら池袋へ。さくらやは改装中で閉店してたのでビックカメラだ。

 ところが。
「お客様は、前回の機種変更から10ヶ月たっていませんから、変更できません」 なんですとー! 「できなくはないんですけど、1万円くらいかかってしまうので、もう少し待った方が良いですよ」 ガーン。
 駅までの道を泣きながら引き返し(嘘だけど)、あとひと月、ガマンする他に道はない。4月になれば「メール月500円で送受信し放題」になるし、本体だって、もすこし安くなってるかも知れない。と、自分をなぐさめる。

 家では、ただきちさんがうなりながらワープロ打ってるので、時間つぶして帰ることに。
 整骨院で背中をポキポキ鳴らされて(ホントは鳴っちゃいかんのに鳴ってしまうのだ俺の骨は)、それから、喫茶店でピザトーストセットを前に、持参した文庫本『鼠と竜のゲーム』を読む。長い前書きから「星の海に魂の帆をかけた女」まで読んだところで閉店時間、マスターが表の看板を片付け始めたので店を出る。

 この本を前に読んでから、どれだけの月日が経っただろう。もはや作者の素性もすっかり忘却の彼方で、ティプトリーの経歴とごっちゃになってたりするほど。物語の味わいも、初回と同じとまではいかないが新鮮な感触。
 初めて読んだのは10年以上前になるのか、未訳の短編を読みたさに同人誌「補完機構」を買ったり、熱心なファンの運営する、パソコン通信のホストもあったなあ。ある種の味や香りがもたらす作用に似て、本を読むことで精神が懐かしい時代に引き戻されることがある。

 帰り道、寒いながらも、風には身を切るような鋭さがなくなっている。空気に梅や沈丁花の甘い気配が混じり、雲の切れ間に丸い月が見えた。


かこぶんきのうあした
ちちやすになんか送る




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