急に海に行きたくなって、学校の帰り仲良しのたまちゃん(仮名、当時11歳)を誘って海をみにいくことにした。
「るかちゃーん。海なんてどこにあるのー?」 純心でカワイイたまちゃんが、アタシと仲良くしてくれたのは 今思えば不思議だ。
「ずっと歩いていけばあるよー。きっと」 「…。」 たまちゃんはイヤといえない性格だった。
学校を出て、歩いても歩いても、海はみつからない。 全くきたことのない道を、ふたりだけで歩いてきたアタシたちは 不安より期待でいっぱいだった。
歩くこと3時間。 なんだか水草の匂いがする。
「たまちゃーん。あったよー!海が」 「こ…これが海なの???」
今思えば多分、湖だったと思う。 そしてそれは只の湖ではない。 猛烈に汚い湖だったのだ。 たまちゃんは、クソ汚い湖をみて意気消沈していた。 しかし、なぜかアタシはうれしくてしょうがなかった。 昔からバカだったのである。
( *´0`) ~♪海はー 臭いなー 汚れてるー ( *´0`) ~♪コケは生えてるー ゴミだらけー ( *´0`) ~♪行ってみたいなー よその国― これがアタシはよその国に行ってみたくなったキッカケなのかもしれない。
しかし、目的を果たしたあとの帰り道は地獄だった。 初夏の徒歩6時間は子供には辛すぎる。 お金を1円も持っていなかったアタシは、 たまちゃんにジュースをご馳走になった。 本当に人迷惑なヤツである。
帰宅したのは7時をまわっていたと思う。 よく空腹で死ななかったものだ。 なんて言って帰宅したかはもう覚えていない。
たまちゃんは今はどうしているのだろう。 小学校を4回変わったスーパー転校生のアタシには 小学生のときから仲良くしている友人はいなくなってしまった。
でもさー、たまちゃん。 また今年 海に行ってみない? 今度はアタシがジュースおごるねw。
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