「よっしかわくーーーん」 などと声を裏返らせて、竹刀を振りながら海辺を走る男がだいきらい。 道に倒れて誰かの名を呼び続けたりする女もだいきらい。 つまり、青春爆発野郎や、テンションの高い人がだいきらいなのだ。
高校時代、美術を選択していたアタシは、 石膏でできた手をデッサンしていた。 アタシの書いたデッサンを見た先生に、 「デッサンは良いのに、おまえのやる気のなーい感じはなんだ? そんな倦怠した女子高生はいないぞ。 おまえみたいなタイプとは絶対、結婚しないからなっ」 と一方的に言われ、呆然としたことがあった。 てか、頼んでないのに…などと思っていたら、 その先生はその後自殺してしまった。
・・・・。
全身全霊で仕事や恋愛をしている人や、 すべてをさらけ出したような作品を作っている人を みると、うらやましいと思う反面、自分には一生できないだろうと思う。 不真面目にしているつもりはなく、全力投球しているつもりでも、 持って生まれたこのシニカルな「ゆるい感じ」は一生つきまとうのだろう。 芸風と言うのは、一生続いていくんだね。
オウギュスト・ロダンさんによる「手」 ルッカ撮影
|