ご冥福を・阿部謹也さん/「バルビゾン派から印象派」展/「食卓から消え」ゆく日本の食糧 - 2006年09月10日(日) 今頃阿部謹也さん(西洋歴史社会学者、前一橋大学学長)が9月4日になくなっていたと知る。「ハーメルンの笛吹き男」「中世を旅する人々」は夢中になって読んだ。私が文学部にいる理由を作った、書籍でしか存じ上げない、お一人かもしれない。 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060909NTE2INK0409092006.html もうこの方の新しい著作を読めないのかなあと思うと、心にポッカリ穴が空く。 ひとは、必ず死ぬ。いつかは死ぬ。 日野原センセイみたいに、94歳でも現役で医療に、ミュージカルに、 と活躍できる方もいらっしゃるが、そういえば、地域医療でお邪魔した 医院の先生も仰っていたではないか。「50歳過ぎたら、風に吹かれる葦のように生きなさい。寿命は分りません」50過ぎたらおまけの人生。 長生きしたらそれは特別に授かったもの。 一日一日、大事にしなければ。 ++ 大丸ミュージアムの「バルビゾン派から印象派展」を見に行く。有名な作品はないけれど、クールベやミレーなど画家が揃い、室の高い作品ばかりだ。ほとんどガラガラで、ゆったり観賞できた。満足。 派手さはないけれど、お勧めしたい展覧会。 ++ 今、NHKスペシャル「マグロが食卓から消える?」を見ている。 中国での魚介類(マグロを含む)の爆発的な消費増、さらに欧米でも健康ブームからマグロを含む魚の消費が増えているのだが、天然物のマグロ資源はドンドン減少して来ている。また、マグロ漁自体も、原油高から不採算性が高まってる。安い養殖マグロが天然マグロを圧迫しているが、これまたタマゴから養殖するのではなく、弱ったマグロを一網打尽にして高栄養の餌を食べさせ、4ヶ月で太らせるのだと言う。従って、養殖マグロといっても、天然マグロ資源を枯渇させる一端をになっているのだ。 かつて円高で世界中から食材を輸入し放題にしていた日本。 (今も、まだ、しているけれど) そこまでしてマグロのトロが食べたいか?という疑問を抱えつつ、 今も、「輸入すればイイじゃン」と言う声を聞いて驚くことがある。 まず、輸入するほどの経済力を今後保てるのか? また、他の国も同じ食糧資源を狙う訳だから、日本だけで独占できる訳ではない。 国内の自給率をあげること(恐ろしいことに4割しか食糧を自給していない。これで経済と外交を重視しないでどうする??) さらに、輸入をするのであれば、 経済力と、そして通商できる平和と安全が必要である。 例えばマラッカ海峡が海賊でタンカーが通行できなくなって、日本に石油が入って来なくなったとする。そうしたら日本はどれだけもつか? 答えは4ヶ月、である。 長いとみるか、短いと見るか。 自前で調達できるようにする、 そうでなければ経済と平和である。 そのことを、国の指導者は忘れてはいないか。彼らの発言からは食糧やエネルギーの問題を彼らがどう考えてるか、見えて来ないのである。 番組紹介にこのようにある。 「番組では日本の商社のバイヤーに密着。買い付けで渡り歩く世界各地で、彼らは他国のバイヤーを相手に苦戦し続ける。その姿を見ていると、ある不安が浮かんでくる。「食卓から消える」のは、果たしてマグロだけなのだろうか、と」 同感である。 このまま手を打たなければ、そのうち、食卓には、お湯で薄めた雑炊と、サツマ芋が一切れしか並ばなくなる日も、来るかもしれない。 -
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