2005年07月12日(火) |
参議院で法案が否決され、衆議院を解散しても、違憲ではない |
日経(H17.7.12)2面で、郵政民営化法案が参議院で否決された場合、小泉首相は、衆議院を解散して総選挙を行う可能性を示唆したと報じていた。
ところで、この場合の衆議院解散に対しては、違憲説がでているそうである。
確かに、衆議院では5票差とはいえ、郵政民営化法案を可決している。
その後、参議院で法案が否決されたとしても、それは衆議院の問題ではない。
それなのに、なぜ衆議院を解散する必要があるのかということなのだろう。
憲法は、衆議院で内閣不信任案が可決されたときなど、衆議院を解散しなければならない場合について規定している
しかし、それ以外にどのような場合に衆議院の解散が許されるかについての規定はない。
ただ、有力な学説では、
1 選挙の際に争点とならなかった重大な問題が生じ、民意を問う必要が生じたとき
2 国会の統一的な意思形成力に問題が生じ、内閣として責任ある政策形成ができなくなったとき
には、衆議院解散が認められるとしている。
郵政民営化法案についていえば、衆議院では、可決されたとはいえ、それはわずか5票差である。
そのうえ、参議院で否決されたとなれば、「国会の統一的な意思形成力に問題が生じ、内閣として責任ある政策形成ができなくなったとき」に該当するといえるであろう。
したがって、参議院で郵政民営化法案が否決された場合に、内閣が衆議院の解散をすることは許されることであり、違憲とはいえない。
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