2002年01月15日(火) |
株式代表訴訟 厳しい判決が出やすい? |
日経朝刊5面で、「商法 相次ぐ改正」「株主代表訴訟見直し」というタイトルの記事で、「取締役の責任の軽減が認められたことで、裁判官が取締役敗訴の判決を出しやすくなる」という著名な弁護士のコメントを載せていた。
そのコメントの意味は、次のようなことである。
つまり、証拠調べした結果、取締役の責任を肯定せざるを得ないことになり、その損害賠償額は1000億円になると仮定した場合、裁判官によっては、そういった判決を出すのは躊躇する場合があろう。
極めて高額な賠償額になりそうな場合、通常は、さまざまな(へ)理屈を付けて、賠償額を減らすのが普通である。 しかし、1000億円のところをいかに(へ)理屈を付けても、数億円に減らすことはできないだろう。
したがって、そのような場合、従来であれば、裁判所は、取締役の責任を認めなかったかもしれない。 しかし、賠償額が軽減されるのであれば、裁判所も高額な賠償額の判決に躊躇しないだろうというのが、コメントの趣旨であろう。
しかし、取締役会決議または株主総会の特別決議で軽減決議をするのは、判決の後である。 したがって、実際に賠償額が軽減されるかどうかは、判決の時点では裁判官には分からない。 すなわち、判決の時点では、従来と状況はあまり変わらないのだから、賠償額を軽減できるようになったからといって、取締役敗訴の判決が出しやすくなったとはいえないのではないだろうか。
先の弁護士のコメントは、取締役の賠償責任が軽減されるからといって、安心してはいけないという警句と捉えるべきだろう。
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