買い物に行ったら、砂肝がうまそうだった。 これを香ばしく焼き上げて、肴にしたら、どんなにうまいだろう。
砂肝を音で表せば、「ぷシャキッく!」であろう。
ぷりっとした身に歯を入れる。 入れた瞬間皮が裂け、歯ざわりのいい身が現れる。 シャキッ!と終わりたいが、 下の皮があるので、く、と一瞬ひっかかる。
ぷシャキッく! これはなんともうまそうだ。
早速買って帰ったが、そういえばこれはどうやって食うんだ?
牛乳をかけて水に浸けて血抜きをして、 とりあえず、フライパンで焼いてみた。
ぷりっと丸まった。想像通りにいい感じだ。
塩胡椒で焼きあげて、焼肉のたれをかける。 肉料理で迷ったときはこれをかければまず間違いない。
一個取り上げ噛んでみる。
ほら、ぷシャキッく!…とはいかないな。あれ?
むシャクッくくくくくく
…最後のキレが悪いな。 しかもなんかやわらかいし味ないし 表面つるつるして中がしっかりしてるから焼肉のたれも流れ落ちる。
くくくくく
まだ噛み切れないよ!なんだこれ!
くくくがりっ
何?軟骨か?もう!味はないし!生臭いし!
想像ではすごくうまそうだったのに…これでは…。
そ、そうだもうちょっと焼いてみたら… 固くなった!やばいぞ! じゃ、にんにくしょうゆをかけ…、うげ!だめだ! マヨネーズで味を整え…!! ぎええっこれは犯罪的だ!
ど、どうしよう…。
諦めて捨ててしまえばいいのだが、 手をかけたらかけただけ、諦め難くなっていく。
そ、ソースは?ケチャップ! だめか! いけっ大根おろし!!玉砕!! お前に賭けるぞキムチの素! お前もだめなのか…! 仕方ない、大穴だ、砂糖醤油で!!キャ――!!
かくして、今日の夕食もカレーになりましたとさ。 …おかしい…こんなはずでは…。
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