* 世界一ついてない日常
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2005年01月10日(月) 薄情な体質

私はすぐにしもやけになるたちだ。
生まれつき体質が薄情なのだ。

というのも、寒いところに行くと、すぐに指が白くなる。
しびれたようになり、感覚が鈍い。仮死状態だ。
それも五本いっしょにではなく、
小指とか薬指とか、どうでもいい指から白くなる。

つまりこいつらは血液の配給を断たれたのだ。
私の心臓は、こうやって弱いものから切り捨てていく。

リストラ。

しかも親指や人差し指はたいがい無事なのだ。
裏でつるんでいやがるのか。
あの図体だ。きっと親指が親玉で、隣の人差し指が参謀か。
名前もなんかそんな感じだし。

きっと裏世界では結構知られた顔で…いやこの場合は指だけど、
もっと悪いことをしているんだ。
まったく、なんてやつらだ。
私の体だけに、どこにどう腹を立てていいのかわからない。

しかし…組織のおそらく中堅にあたるであろう中指は、
なかなかいいやつなのだ。

図体から言えば親指の次にいい体をしているし、背も高い。
なのに、こいつが結構白くなる。
薬指をかばって、小指と中指が白いという状態になったりもする。

ひょっとしたら中指と薬指は兄妹かもしれない。

だって似ているのだ。この二人…じゃない、二本は。
だから中指は、妹想いないいやつなのだ。
おそらく人差し指あたりに弱みを握られたか親の治療費のため、
二本は仕方なくこの組織に身を置いているのだ。

小指はなんなんだろう。

サイズ的には末っ子だが、こいつはそれほど可愛らしくはない。
心臓にも真っ先にリストラされるようなやつだし、
人情家の中指にも見捨てられるあたり、ろくでもないやつだろう。

おそらく…親指の隠し子。

だからみんな強くは出られなくて、組織に置いてやっているけど、
いざとなったら切り捨てられるということか。


なんとなく謎が解けてきたぞ。

しかし、彼らとそっくりな左手の存在については、
明確な結論が出ていないことを伝えておこう。

            完


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