2004年05月11日(火) |
たのしい免許更新講習会 |
免許更新のため、講習会に参加しました。
それは午前9時。某市交通安全協会にて。 薄暗い一室に集められた老若男女。
おそらくはこの講習会のためだけに使われているこの部屋は、 どうやらコンセントがないらしい。 OHPを使うのに、部屋の外から長々と延長コード。
思えばこれが危険の前兆だったのかもしれない…
講師の簡単なあいさつがあったあと、VTRとなる。
いっちょまえにDVDとなってはいるが、いかにもな手作り素人ビデオ。
――ちゃ〜らら、らら〜♪ ――美しい水の都。この町で私たちは
んー 水の都…という意識はないなあ。 それはむしろ滋賀県に冠するべきじゃないのか。
平和にそんなことを考えていたとき、画面にタイトルが表示された。
「私たちの交通安全の」
の?!
…瞬間、その場にいた全員が心の中でつっこんだと思われる。 しかしよく見ればどうやら、 画面のはじが白幕の外に出てしまっているようである。
「私たちの交通安全のために」
本当はこう言いたかったらしい。 一応の納得はしたものの、講師に直そうとする様子はなく、 また会場の誰も、何の手も打つことはない。
確かにこの素人ビデオ、 はじが切れようが真ん中で切れようが大して変わりはしない代物。
まあいいか。私もだんまりを決め込む。
そうこうする間に、 ビデオはシートベルトの大切さ、事故の悲惨さを訴え、 「事故の原因」をテロップで箇条書きにする。
――「酒酔」
酒酔い運転、と書きたかったらしい。これはこれでわかりやすい。
――「信号」
これは信号無視と書きたかったらしい。
――「わき」
もうわけわからん。
そして物語は佳境に入り、遵法精神・譲互精神・人命尊重が訴えられ… ているらしいのだが、どうにもやはり右はじが切れるため、 私たちはなけなしの推理力を駆使してその空間を読むしかない。
真剣である。
私の後ろに座っていたやる気のなさそうな兄ちゃんも、 いつの間にかイヤホンを外し、食い入るように画面を見つめている。
――「夜間走行には十分な車」
――「高速道路運転の際には必ず」
そう、これはもはや交通安全講習会ではなく、 消えし右はじを当てろゲームになってしまっていた。
高速は必ず…
なんだ?
車間距離、はさっき出たから、体調管理とか。いやまだ弱い気がする。 ならシートベルト?いや、この文脈ならば法定速度か?
そうやって受講者は一生懸命考えて…
すなわち、講習会側としては大成功だったのである。
もちろん講習会終了後も、OHPが直されることはなかった。
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