ああああああ、読者の皆さん。 また大変なことになっちゃいました。
実は、アリの巣に落っこちちゃいました。
しまった……。 もっと足元ちゃんと見なくちゃでした。 さしあたってちょうど墨汁もってたので、黒く変装します。 でもバレるのは時間の問題です。 だってそもそも大きさが違いすぎますから。
「アリ?」
あっほら!怪しまれた! ちがうっ!いや、私、アリですよ、決して人間なんかじゃ。 「アリリイ……」 えっアヤシイ?! 怪しくない!怪しくない!やだなあ兄弟。 「アー、アリハナンダ」 じゃーあれは何だって? えー…えーと、あ、女王アリ……様? 「アリ。」 当たり? よかった、疑いが晴れて。 「アリ、アリリリリ。」 えっ仕事?あー…うん、今日は午後はオフ。 「アリ?」 違う、なし。 「? アリ?」 あ、ああ、ごめん、はい、そうです。そう、なしです。 もー、ややこしいなあ。 ん? 君はまだ勤務中なんですね。家族経営だし仕方ないね。
ハァ…なんとか一匹やりすごした。
しかしどうにかして地上に戻らないと。 卒論は終わってるから問題ないとはいえ、 なんかこのままここにいたら自分までアリになりそうです。
「アリ」
うわあぁああっ!と!びっくりした! 後ろから声かけないで下さいよっ! ……て? 「アリリ アリアリリ?」 じ、女王様! はっ!私めに何のご用であらせられますかっ! ……って…なんでアリに敬語使ってんだろ。 「アリリハ、モーアキタ」 もう飽きた?! 今のだけわかったぞ。 でも何に飽きるというのです!最高権力者の貴女が?! 「アリリハチジョーニ、イキタイアリ」 地上…はい!はい!お供しますとも! よかった。彼女が一緒なら私もフリーパスに違いない。 帰れるんだ! じゃ、どうぞ、私 運びますから。どうぞ手の上に。 「アリ?」 なんでこんなに大きいのかって? いや、昨日食べ過ぎて。 「アー。」 納得してくれました? さあ行きましょう女王様!
そういうわけで私は、アリの王様と共に、地上めざして歩き出した。
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