ノック三回。
はい、だぁれ?
こんばんわ、魔法使いです。
あなたの願いはなんですか?
あたしのおねがい?
あたしの願いはイマがずーっと続くこと。
だぁれも扉を開かないこと。
では、ずっとおひとりで?
さびしかったりしないのですか?
眠れぬ夜が長かったりは?
話がさっぱり分からない。
あたしの世界は、あたしで満員。
『さびしい』なんて、知らないわ。
『眠れぬ夜』も知らないわ。
そうですか、では僕は不要者ってわけだ。
お邪魔しました。
待ってちょうだい、魔法使いさん。
よろしければ、また来てくれる?
扉の向こう側にいる、あなたとまたおしゃべりしたいの。
・・・。
もちろん。 それがあなたの、『願い』ならばね。
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