アンナはももいろうさぎです。
アンナには、優しいパパとママがいます。
ママがある晴れた日に言いました。
「あの青空のようなスカーフが欲しいわね。」
アンナはそうか、と思いました。
ママはそら色のスカーフが欲しかったのか。
アンナは家にある一番長いはしごを空に掛けると、
ママの大事な布切りばさみでじょきじょきじょきん。
そらのすみっこをスカーフ分だけ、
切り取ってしまいました。
そらはぽっかり穴が開きました。
アンナは気にせず、そら色の布でスカーフを作ります。
綺麗な青空色のスカーフでした。
ママにあげると、ママは大喜びです。
「ありがとう、アンナ。ママこんなのが欲しかったのよ。」
すると今度は、パパが言います。
「パパは夕暮れ色のハンカチが欲しいんだけど。」
「いいわよ、作ってあげる。」
アンナは夕暮れ時になるとまた、
ママの布切りばさみでじょきじょきじょきん。
ハンカチ分だけそら色の布を切り取ってしまいました。
そらにはぽっかり穴が開きました。
アンナは気にせず、ハンカチを作ります。
それは綺麗な夕焼け色のハンカチでした。
パパにあげると、パパは大喜びです。
「ありがとう、アンナ。とても素敵だよ。」
アンナは得意げに答えます。
「いいのよ。アンナ、お裁縫得意だもの。」
その横で、ママは不思議そうに尋ねます。
「ところでアンナ、こんな素敵な布何処で手に入れたの?」
アンナはこれまた得意げに答えます。
「おそらから、切り取ったのよ。」
「まぁ」
「おやおや」
パパとママは驚きます。
「アンナ、勝手にお空を切っちゃったのね?」
「だめだよ、そんな事をしては。」
「どうして?」
アンナが不思議そうに尋ねると、パパが答えてくれました。
「お空はね、かみさまのものなんだよ。
だから勝手に切り取ってはいけないんだ。
そんな事をしたらかみさまに悪い子だって思われて、
悪魔にさらわれてしまうよ。」
アンナは驚いて泣き出しました。
「おそらがかみさまのものだなんて知らなかったわ。
どうしよう、パパ、ママ。
アンナ、悪魔にさらわれてしまうのかしら。」
パパはやれやれ、と肩を竦めました。
アンナはしくしくと泣き続けます。
そんなアンナの肩を、ママがぽんと叩きました。
「大丈夫よ、アンナ。
ママね、今から穴の開いたお空を縫い付けに行くわ。
だからね、アンナはかみさまにごめんなさいなさい。
そしたらきっと、かみさまも赦してくれるわよ。」
ぱちんとウインクすると、ママは大きな針に太い糸を通します。
アンナもやっと泣きやむと、ママの後ろについて歩きました。
「かみさま、ごめんなさい。
アンナ、
おそらがかみさまのものだったなんて知らなかったの。」
その間に、ママはぐいぐいとおそらを縫い付けます。
あっという間に空は元通りの青空です。
「ごめんなさい、かみさま。ごめんなさい・・・」
アンナがもう一度そう口にすると。
ざぁあ。
空に虹が掛かりました。
ママが言います。
「ほら、かみさまが赦してくださってるわ。」
「ありがとう、かみさま!」
アンナが御礼を言うと、今度は虹が消えてなくなって、
代わりに虹色の糸の束がぼとんと落ちてきました。
「きっと、素直なアンナへの御褒美ね!」
ママはそう言うと、虹色の糸の束を家へ持って帰りました。
それで布を作ると、ママはそれでみっつ、作りました。
アンナのスカートと、パパのハンカチ、自分のスカーフ。
その布はとても不思議で、見る度に色が違うのでした。
不思議な虹色のスカートは、
アンナの一番のお気に入りになりました。
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