コトバアソビ。
無断引用お断り。

2003年04月26日(土) アンナのスカート。


アンナはももいろうさぎです。

アンナには、優しいパパとママがいます。

ママがある晴れた日に言いました。

「あの青空のようなスカーフが欲しいわね。」

アンナはそうか、と思いました。

ママはそら色のスカーフが欲しかったのか。

アンナは家にある一番長いはしごを空に掛けると、

ママの大事な布切りばさみでじょきじょきじょきん。

そらのすみっこをスカーフ分だけ、

切り取ってしまいました。

そらはぽっかり穴が開きました。

アンナは気にせず、そら色の布でスカーフを作ります。

綺麗な青空色のスカーフでした。

ママにあげると、ママは大喜びです。

「ありがとう、アンナ。ママこんなのが欲しかったのよ。」

すると今度は、パパが言います。

「パパは夕暮れ色のハンカチが欲しいんだけど。」

「いいわよ、作ってあげる。」

アンナは夕暮れ時になるとまた、

ママの布切りばさみでじょきじょきじょきん。

ハンカチ分だけそら色の布を切り取ってしまいました。

そらにはぽっかり穴が開きました。

アンナは気にせず、ハンカチを作ります。

それは綺麗な夕焼け色のハンカチでした。

パパにあげると、パパは大喜びです。

「ありがとう、アンナ。とても素敵だよ。」

アンナは得意げに答えます。

「いいのよ。アンナ、お裁縫得意だもの。」

その横で、ママは不思議そうに尋ねます。

「ところでアンナ、こんな素敵な布何処で手に入れたの?」

アンナはこれまた得意げに答えます。

「おそらから、切り取ったのよ。」

「まぁ」

「おやおや」

パパとママは驚きます。

「アンナ、勝手にお空を切っちゃったのね?」

「だめだよ、そんな事をしては。」

「どうして?」

アンナが不思議そうに尋ねると、パパが答えてくれました。

「お空はね、かみさまのものなんだよ。

 だから勝手に切り取ってはいけないんだ。

 そんな事をしたらかみさまに悪い子だって思われて、

 悪魔にさらわれてしまうよ。」

アンナは驚いて泣き出しました。

「おそらがかみさまのものだなんて知らなかったわ。

 どうしよう、パパ、ママ。

 アンナ、悪魔にさらわれてしまうのかしら。」

パパはやれやれ、と肩を竦めました。

アンナはしくしくと泣き続けます。

そんなアンナの肩を、ママがぽんと叩きました。

「大丈夫よ、アンナ。

 ママね、今から穴の開いたお空を縫い付けに行くわ。

 だからね、アンナはかみさまにごめんなさいなさい。

 そしたらきっと、かみさまも赦してくれるわよ。」

ぱちんとウインクすると、ママは大きな針に太い糸を通します。

アンナもやっと泣きやむと、ママの後ろについて歩きました。

「かみさま、ごめんなさい。

 アンナ、

 おそらがかみさまのものだったなんて知らなかったの。」

その間に、ママはぐいぐいとおそらを縫い付けます。

あっという間に空は元通りの青空です。

「ごめんなさい、かみさま。ごめんなさい・・・」

アンナがもう一度そう口にすると。

ざぁあ。

空に虹が掛かりました。

ママが言います。

「ほら、かみさまが赦してくださってるわ。」

「ありがとう、かみさま!」

アンナが御礼を言うと、今度は虹が消えてなくなって、

代わりに虹色の糸の束がぼとんと落ちてきました。

「きっと、素直なアンナへの御褒美ね!」

ママはそう言うと、虹色の糸の束を家へ持って帰りました。

それで布を作ると、ママはそれでみっつ、作りました。

アンナのスカートと、パパのハンカチ、自分のスカーフ。

その布はとても不思議で、見る度に色が違うのでした。

不思議な虹色のスカートは、

アンナの一番のお気に入りになりました。



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本田りんご

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