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2007年07月14日(土)
10代の女の子たちが「ケータイ小説」にハマる理由

『ダ・ヴィンチ』2007年月号(メディアファクトリー)の記事「ケータイ小説ってどうなの?」より。

(「若者がケータイ小説にハマる理由」という「ケータイ小説」読者の10代の女の子たちの対談記事。参加者は、木村裕美さん(18歳)、柳沢桃子さん(18歳)、松本優美さん(17歳)、中島祐乃さん(17歳))

【司会者:『セカチュー』もやっぱりヒロインが死んじゃうでしょう? あれはどうなの?

中島:私はそれなりに感動したけど……ただ、『セカチュー』って、なんていうか「昔」の話なんだよね。ところどころわからない描写があったし……今っぽくないなあって。

柳沢:うん、やっぱり「現実的」じゃないんだと思う。リアルかどうかって大事だよね?

一同:うん。

柳沢:出会い系とかレイプとか、ちょっとグロい現実の話が、もしかしたら近くであるのかもって思うところにリアリティがあるんだと思う。

司会者:えっ? でも出会い系やレイプを題材にしたケータイ以外の小説だっていっぱいあるよ。

柳沢:だって、そんな本があること自体、私ら知らないもん(笑)。

松本:Yoshiの『Deep Love』は中学校のときに読んだよ。今流行ってるケータイ小説とはちょっと違うけど、あれは横書きだったからスラスラ読めた。横書きのケータイ小説なら一つの話を一晩で読んじゃうこともあるし。

中島:やっぱさ、横書きかどうかって重要だよね。小学校の頃、あまり興味のない小説を無理矢理読まされることがあったけど、普通の小説って全部縦書きでしょ。それでイヤになったところがある。

一同:あ〜、それわかる!

柳沢:縦書きで書かれていると文字が詰まりすぎてるように見えちゃうんです。横書き独特の空間? セリフだけで読ませちゃうような部分が堅苦しくなくていいかな。

木村:私も『Deep Love』は読んだんですけど、あれは『セカチュー』と違って「今、起こっていること」って感じがしたし、自分が知らないことをいっぱい知って勉強になったから好き。

中島:私らにいわせると普通の小説家の人って、「今、起こっていること」が描けてないような気がするんだよね。『Deep Love』の場合は、友だちから拡がっていった感じだったし、最初からものすごく身近に感じられた。

松本:最後に彼氏が死んじゃうし、自分はエイズになるでしょ。自分を犠牲にしてまで彼を愛したのに、切なすぎる〜って思った。

柳沢:現実の恐い世界を覗き見た感じがしたよね。のめり込んだ分、映画やドラマはビミョーだったけどさ(笑)。

司会者:みんな、ケータイ小説はどこで見つけてくるの?

木村:サイトの人気ランキングを参考にしたり……。

中島:友だちに教えてもらったり。

松本:今読んでるものを、お互いに報告しあったりしてる。

木村:でもさあ……最近、ケータイ小説にもちょっと飽きてきたような気がするなあ?

柳沢:うん、ちょっとね。似たような話がホントに多いんだ。誰かが死んじゃう系の小説が多すぎるよねえ(笑)。今は、もうちょっとリアルな話のほうがいいかなと思う。リアルっていうのは、私は知らないんだけど、となりのお姉さんはよく知ってる、みたいな? ホストやキャバクラが出てくるような作品には現実感があると思うし、興味もある。】

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 「ケータイ小説」の熱心な読者たちからすれば、【『Deep Love』は、今流行っているケータイ小説とはちょっと違う】のですね。僕もあまりに流行っているので書店やコンビニでパラパラと「ケータイ小説」をめくってみたことはあるのですが、正直なところ、みんな『Deep Love』と一緒だとしか思えませんでした。自分に興味がないものの「違い」ってよくわからないものですし。

 それにしても、この対談を読んでいると、今の10代後半の女の子たちにとっての「リアル」っていうのはこんな感じなのか……と驚くばかりです。そりゃあ、『セカチュー』が、「懐古主義的な小説」であることは間違いないし、僕としては、あんな古くさい青春+難病小説である『セカチュー』がなんであんなに売れたのかよくわからないのですけど、相手が「ケータイ小説」だと、つい『セカチュー』の肩を持ってしまいたくなるのも事実。
 『セカチュー』の世界よりも、「出会い系やレイプやホストやキャバクラ」のほうが、「リアル」に感じられるという今の10代の女の子たちの「現実」は、正直ちょっと怖いです。

 あと、「横書き」「縦書き」っていうのはけっこう大きな要素なのだなあ、とあらためて感じました。しかし、今の10代女子は、「縦書き」っていうだけでこんなに拒絶反応を示すんですね……若い世代へのパソコンとかケータイの影響というのは、僕のイメージをはるかに超えているみたいです。僕などは、「ケータイ小説」の「横書き、隙間だらけ」のページを見ただけで、「紙がもったいない!」「割高!」なんていう貧乏性な感想しか抱けないのですが。

 そして、もうひとつわかったのは、いまや売れ行きに関しては「普通の小説」をしのぐ勢いの「ケータイ小説」も、実はもうすでに10代の女の子たちには「飽きられはじめている」ということでした。これだけ似たような話が粗製濫造され、消費されていけば当たり前のことではあるのですが、「ケータイ小説」は、もうすでに「曲がり角」にきているのかもしれませんね。