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2006年08月18日(金) ■ |
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「mixi」での中傷は、安全でも適切でもありません。 |
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産経新聞の記事より。
【岩手県内にある大学の元水泳部員の男子学生(20)が、アルバイト先の書店で顔や腕を包帯で覆った皮膚病患者の写真を隠し撮りし、インターネットに「ミイラが来店」などと中傷する書き込みを繰り返していたことが17日、分かった。同じ悩みを抱える患者らからの抗議メールを受け、水泳部のホームページが閉鎖に追い込まれたほか、大学側にも抗議が殺到。学生から事情を聴き、厳重注意を行ったという。 学生のバイト先の近くには、重度の皮膚病治療で名の知られる総合病院があり、撮影されたのは、そこに入院する患者の外出時の姿とみられる。大学側などによると、書き込みは7月9日に2度行われた。バイト先の書店を訪れた患者の写真を携帯電話のカメラで撮影した上で公開し、「ミイラが来店」「刺激臭を観測…くせぇ」などと中傷した。 書き込みが、会員登録型のソーシャル・ネットワーキング・サービスで行われたことから個人が特定され、巨大掲示板群などを介して批判の声が広がった。 抗議のメールを受け、水泳部は7月27日付で「元部員の軽はずみな言動でご迷惑をかけた」などとする謝罪文を掲載し、ホームページを閉鎖。大学は28日に学生を呼び出し、「学生として、人として不適切な行為」などと学部長名義で注意した。】
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もちろん、この学生の発言内容は、「人間としての品性が疑われる」ものであることは間違いありません。いや、人間誰しも、そういう「ダークな考え」が浮かんでくることはあるのでしょうが、それを口に出すのは、やはり「許すわけにはいかない」と思います。その「罪」が「謝罪すれば大目にみてもらえる」レベルなのか、「学校を追われ、社会的制裁も受けまくる」レベルなのかはさておき。 ところで、僕はこの記事を読んで、ちょっと怖くなってしまいました。この男子学生は、ソーシャルネットワーク(SNS)にこの書き込みをしていたらしいのですが、それが同じような病気を抱えている患者さんの目に留まって糾弾され、さらにそれがコピー&ペーストされ、「某巨大掲示板群」に晒されて、このような大きな事件になったようです。 たぶん、この男子学生は、公衆の面前で同じことを言うほどの「勇気」(こんな酷い中傷に「勇気も何もあったもんじゃないかもしれませんが)は全くないと思うんですよね。あるいは普通のブログだったら、こんなことを書く前に、自制心が働いた可能性も高いと思います。 でも、これが「会員制のSNS上」だからこそ、彼は「暴走」してしまったのではないでしょうか。「どうせ、知り合いしか見ないだろうから」って。 この某SNS(というかmixi)の日記というのは、「公開制限」をかけていなければ、会員でなら誰でも閲覧することができるものです。しかしながら、現実的に「自分のマイミクではない人」に見られる可能性というのは、自分のプロフィールによっぽど可愛い女の子の写真でも使っていないかぎり、そんなに高いものではないのです。この男子学生も、友達同士での「黒い嘲笑」を共有するためにこんなことをしたのでしょうけど、それが「内輪の話」だけではすまないのがネットの怖さ。いまや500万人を超える会員数を超える「mixi」は、もう、「閉鎖されたプライベートな場所」ではなくて、mixiそのものが、「小さなインターネットそのもの」なのです。「ブログに書けないような本音を書く」場所のはずだったSNSでさえ、もう、「隠れ家」にはなりえない。むしろ、「書いた人がすぐに特定される」というリスクのほうが大きいくらいです。
実際「友人のみ公開」にしていたとしても、もしその内容が「仲間」の一人によってコピーされ、「某巨大掲示板群」に晒されたりすれば、それはもう、「友人のみ公開」だったから、なんていう言い訳は通用しないでしょう。「オフレコ」のつもりの発言でも、みんなに聞こえてしまえば、「言わなかったこと」にはできないのです。ですから、極端な話、自分のパソコンのWORDに書いた他人の悪口が、スパイウェアによって誰かの手に渡り、晒されたとしても、「そんなことを書くなんて酷い人間だ」と糾弾されてしまうのではないかという気もします。 そもそも、この事件に関しても、大学に責任を問うたり、本人が所属していた水泳部のホームページを荒らしたりするのに、どのくらいの「意味」があるのかは甚だ疑問です。大学に通っていたことがある人なら、大学というのは「人格形成の場」ではないということは理解しているはずだし、水泳部に所属していたからあんなことを書くような人間になったわけではないというのも、わかりきったことのはずなのに。もちろん、そうやって周囲を責めることが、本人に対するプレッシャーになるのは事実なのでしょうが、正直、そんなふうにとばっちりを受けて責められるほうは、いい迷惑でしかありません。 まあ、「誤解を招くようなことは書かない」しかないとは思うのですが、それにしても、なんだか気が滅入る話ではあります。 結局、皮膚病の患者さんのことを差別するのをやめるというのが目的なのではなくて、「差別をしている人間を、生贄としてさらに差別して快哉を叫ぶ」というのが目的の「負の連鎖」にしか、僕には見えないのですよね。
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