|
|
2005年05月19日(木) ■ |
|
教科書には載らない、「天ぷらの正しい食べ方」 |
|
「花咲くばか娘」(わかぎゑふ著・集英社文庫)より。
【例えば、関西人は天ぷらにソースをかけて食べるのは一般庶民の常識なのだが、初めて「上等の店」で天つゆを付けて食べた時にみんな衝撃を受けるんである。「こんなに上品で美味しいものだったのか」と。これは私だけでなく大阪の下町で育った友達はみんなそうなのだ。 ほうれん草はおひたしにしなくてはいけない、バターで炒めたり生では食べられないと思っていたし、オムライスにはケチャップ以外のものはかけてはいけないと思い込んでいた。 苺だって砂糖と練乳をかけなきゃいけないと思い込んで食べてたから、そのままの味があんなにおいしいと知った時には驚いたものである。 そんな子供のころになんとなく覚えた食べ方がひとつの方法にすぎないことに気が付くまで、人間は意外と時間のかかるどん臭い生きものなのだ。】
〜〜〜〜〜〜〜
某有名食べ物漫画(というか「美味しんぼ」)で、「目玉焼きをどうやって食べるか」というのが取り上げられた回があったのですが、塩こしょうのシンプル派から、醤油、ウスターソース、ケチャップなど、さまざまな調味料を主張する人と「黄身から食べる派」「黄身は最後派」「つぶして食べる派」など、さまざまな食べる順番を持っている人たちに驚かされたものです。 ちなみに僕はウスターソース&黄身は最後派(しかも、本当に最後に「黄身だけ」残してしまうのです。ああ貧乏くさいなあ…)なのですけど。
人はみんな、「自分の食べ方がスタンダード」だと思いこみがちな生き物のようなのですが、とくにこの「天ぷら」に関しては、僕もわかぎさんと同じような経験があるのです。 わかぎさんは「天ぷらにウスターソース」だそうなのですが、僕の家では、家で揚げた天ぷらは醤油で食べるのが当然!」だったんですよね、子どものころは。 僕の母親は関東出身だったのですが、関東圏は比較的醤油が多かったのかどうかはよくわかりませんが… あのころは「外食で天ぷら」という機会はなかったので、自分が大人になって「天つゆ」というもので天ぷらを食べたときには、その上品さに驚いたものです。まあ、その一方で、「うーん、何か物足りないような気もしなくはない」と感じたのも事実なんですけど。 しかしながら、最近では「天ぷらの本道は”塩”だ!」というような話にもなっていて、「天ぷらを醤油で食べていた」なんていうのは、まかりまちがっても口にはしづらい趨勢です。それこそ、お見合いの席でそんなことを言ってしまえば、それだけで破談になるかもしれません。 確かに、天ぷら本来の歯ごたえを楽しむには、液体に浸すというのはあまりプラスではないような気はしますが、「醤油派」からすれば、「天つゆだって凄いじゃないか!」と主張してみたくもなるのです。 オムライスだって、今はけっこうデミグラスソースがかかってたりするし、スパゲッティなんて、ナポリタンを探すほうが難しいくらいだし。
それにしても、この「関西人は天ぷらにソースが常識」というのを読んで、僕は正直「て、てんぷらに、ソ、ソース…?」と驚いてしまったんですよね、実は。「ソースつけたら、みんなソース味じゃないか!」とも思ったんですけど、考えてみたら、醤油だって同じことなのに。 こういう「食習慣」というのは、なかなか変えられないものですよね。韓国に行ったとき、現地では一般的だという、刺身にコチジャンをつける食べかたをやってみて、「ああ、隣国とはいえ、この国と本当に理解しあうのは、なかなか難しいかもしれないなあ」なんて心底思ったものです。
|
|