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2005年05月17日(火) ■ |
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流行作家・西村京太郎の最大のミステリー |
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毎日新聞の記事より。
(2004年の高額納税者・作家部門)
【■作家 西村京太郎さん(74)が7年連続でトップ。ヒット映画の原作「いま、会いにゆきます」の市川拓司さんが初めてランク入りし「なかなかそういう実感がないのですが…」と困惑のコメント。 【作家】 所得税額 1(1)西村京太郎 14,887 2(6)片山 恭一 14,209 3(5)村上 春樹 8,690 4(3)養老 孟司 8,649 5(7)浅田 次郎 7,506 6(2)内田 康夫 6,745 7(4)宮部みゆき 6,344 8(8)赤川 次郎 5,895 9(―)江國 香織 5,860 10(―)市川 拓司 5,654】
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参考リンク:長者番付(データの玉手箱)
ちなみに、2000年の高額納税者ランキングは、
<納税額 作家> 1位 19537万円 西村京太郎 2位 18888万円 赤川次郎 3位 16637万円 宮部みゆき 4位 14397万円 山崎豊子 5位 13369万円 内田康夫 6位 10731万円 浅田次郎 7位 10036万円 五木寛之 8位 9931万円 天童荒太 9位 8835万円 真保裕一 10位 8565万円 北方謙三
上記のようになっています。
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もちろん、節税対策を一生懸命されている人気作家もいらっしゃるでしょうから、納税額=人気のバロメーターと一概には言えないのかもしれませんが、それにしても西村京太郎さんの強さは破格です。 僕がまだ中学生くらいのころは、赤川次郎さん(「三毛猫ホームズ」シリーズなど)の(セールス的には)絶頂期で、「本好きの女の子」は、みんな赤川作品を愛読していたような気がします。当時は、「マンガじゃない」というだけで、胸を張れていたような感じだったし。 それに対して、僕は西村京太郎作品をけっこう好んで読んでいました。昔の西村さんは、「消失もの」と呼ばれるいろんなものが消えてしまうミステリ系の作品や「名探偵シリーズ」というメグレ、クイーン、ポアロ、明智小五郎の4人の名探偵が現代によみがえるというパロディ系の作品なども書かれていて(そういえば、「D機関情報」なんていう、今の福井晴敏作品のはしりのようなものもありました)、「日本国民全員を誘拐した」という設定の「華麗なる誘拐」というような作品も印象に残っています。「華麗なる誘拐」のトリック(というべきなのかな)には、けっこう驚かされたというか、やられた!と思わずつぶやいてしまいました。なんだか、最近は「同じようなトラベルミステリーばっかり書いている、引き出しの少ない人」のようなイメージがあるのですが、実は、いろんなものが書ける人なんですよね。とにかく「登場人物がチャラチャラしている赤川次郎」よりは、「渋い西村京太郎」のほうを当時の僕は好んでいたわけです。今から考えれば、流行作家を追っていたという意味では、そんなに大きな違いはなかったような気もしますけど。 この2人と、内田康夫さん(浅見光彦シリーズ)の3人が、長年「御三家」として、作家長者番付を仕切ってきたわけです。僕の記憶のかぎりでは、以前はずっと、1位赤川次郎、2位西村京太郎だったものなあ。 参考リンクによると、1983年度に赤川次郎さんがトップに立って以来、15年間に14回のトップ(残り1回は内田康夫さん)、1998年度からは、7年連続で西村京太郎さんがトップに立っています。 「流行作家」なんて言いますが、少なくともこの「御三家」に関していえば、本当に長年安定して売れ続けているということになるんですよね。 もちろん、作品数の蓄積そのものが多いから、という要素もあるのでしょうけど。 あとは、宮部みゆきさんや浅田次郎さんのような比較的新しい安定勢力と、片山恭一さん天堂荒太さんのような「大ヒット作品を生み出した人」が入れ替わっていく、というランキングのようです。
それにしても、20年間売れ続けるというのは、並大抵のことではないですよね。なんのかんの言っても、西村さんの作品には人を惹きつける魅力があるのでしょうし、同じ「トラベルミステリー」というジャンルでも、いろいろな要素が含まれているに違いありません。また同じような話?なんて呆れる前に、たまには読んでみなければなあ、なんて考えてしまいました。 でもなあ、こんなにたくさんの人がどこで西村京太郎作品を読んでいるのか、正直僕には謎でもあるのです。 そしてやはり、いわゆる「純文学」というのは、なかなか売れないみたいですね。それこそ、ノーベル賞でも獲れば話は別なんでしょうが。
もちろん、売れた作品=良い作品ではないわけですけど、「流行作家」の仲間入りをするのは、なかなか難しいことのようです。
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