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2005年02月22日(火)
「CLIE生産終了」とPDAの理想と現実

impress Watchの記事より。

【ソニーが、PDA「CLIE(クリエ)」の新機種投入を終了することが明かになった。現行機種の生産は7月まで行なわれる。
 CLIEは、2000年に登場したPalm OS搭載のPDA。CLIEは“Communication Linkage for Information & Entertainment”の頭文字から取られた造語。「エンタテインメント性のある携帯情報端末」として、動画再生などのAV機能の充実を特徴としていた。
 しかし、携帯電話の高機能化などにより、日本を除く海外市場では、2004年6月に新機種の投入中止を発表。日本市場では「PEG-TH55」などが好調だったが、PDA市場自体の縮小もあって、今回の決断となった。2004年9月発表の有機ELディスプレイ搭載機「VZ90」が最後の機種となる。
 ソニーでは、「CLIEというプラットフォームは、これで終了となるが“エンタテインメント性のある携帯情報端末”というコンセプトは、継続していく」としており、PSPや携帯電話などのプラットフォームでの展開が期待される。】

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 僕のような「ネット依存症」の人間にとって、「もっと小さなパソコンを!」というのは、ずっと切実な希望だったのです。5年前くらいには、「小型パソコン」といえば、ソニー・VAIOのC1シリーズと、富士通・LOOXシリーズ、そして、ビクターのインターリンクあたりが、WINDOWSが使えるモバイル機の最小クラスだったのでした。しかしながら、いくらC1が小型だとはいえ、電車で立ったままキーボードをいじるのにはあまりに大きいシロモノでしたし、1.5キロくらいの重さとそれなりの大きさがあるので、常にポケットに入れて持ち歩く、というわけにもいきません。
 そこで、僕も「時代はPDA!」という煽り文句に乗せられて、シャープの「ザウルス」を奮発して買ったのです。それも、スライド式のキーボードがついたやつを。これで、どこでもモバイラーだぜ!と思って持ち歩いていたのはよかったのですが、それが、見事なまでに使いこなせませんでした…

 たぶん、PDAというのは、使いこなせば、ものすごく便利なものなのだと思います。僕の周りにも、多くのデータを入れて、颯爽と使っていた人はけっこういましたし。
 でも、その一方で、PDAには「中途半端」という面があったのも否定できません。
 OSもWINDOWSとはちょっと使い勝手が違っていたし、あのキーボードは(キーボードが無い機種のほうが多かったんですが)、あまりにも打つのに手間がかかります。あれで打つ手間を考えたら、あとでパソコンでまとめて打てばいいや、という感じになってしまうのです。そして、これはPDAという機械そのものの罪ではないんですけど、なかなかPDAを使うにふさわしい状況というが、僕にはなくて。
 実際に仕事をやっている最中などは、辞書代わりには使えるものの、あまりPDAの画面ばかり見ていては眼が疲れますし、そもそも、周りに普通のパソコンがあれば、そちらを使ったほうがはるかにラクで、情報量も多い。そして、ちょっと時間潰しをしたいのであれば、携帯電話でゲームでもやっていたほうが、はるかに手軽で面白いコンテンツが多かった。
 電車などの交通機関での通勤・通学に時間がかかる都会の人には便利なのでしょうけど、僕のような自動車通勤の田舎で仕事をする人間にとっては、本当に「使いどころが無い」んですよね。あの操作系、とくに入力のめんどくささというのは、かなり致命的なもので。
 携帯電話のメールであれば、自分も相手も「携帯だから」という暗黙の諒解があって、それなりの長さや内容のやり取りが行われるのですが、PDAの場合は「パソコンと同じ、あるいは近いもの」という意識があるわけですから、その苛立ちはよけい高まったような気がします。
 しばらくポケットに入れていたのですが、結局、僕にとっては、「宝の持ち腐れ」になってしまいました。
 そういえば、パソコンのモバイルマシンにしても、バイオUのような超小型機が出ているものの(いや、実は僕も持っているんですよこれ。同じ失敗を繰り返しております)、昔のC1やLOOXから、大きさ、重さに関しては、とくに「超小型機」と言われる範疇では、劇的に小型化や軽量化された機種が普及しているわけではないのです。「モバイルの夢」を追い続けた僕の実感としては、「あんまり小さすぎると、入力するのも疲れるし、使いにくい」のですよ本当に。肩もこるし、頸も痛くなるし。もちろん、使い方次第では役に立つ場面もたくさんあるんだろうけど、正直なところ、PDAしか使えないような状況では、パソコン(あるいは、それに準ずるもの)は、なくても別に困らない。

 本当は、「PDAがやろうとしていたことは、携帯電話でできるようになりつつある」のですし、ややこしいプロバイダー契約とか接続設定が必要ない(というか、携帯電話会社そのものがプロバイダーなんですが)、携帯電話のほうが便利になりつつありますしね。
 情報を「発信する側」としては、携帯電話で長い文章を打つのは、ちょっと勘弁してもらいたいけど。

 今から考えると、PDAっていうのは、メカ好きにとっての「夢」だったんですよね、きっと。僕にとっては、使っていて便利というよりは、「どうだ、凄いだろう!」というような、誰かに見せびらかしたくなるファッションのひとつだったのかもしれません。
 残念ながら、周囲の反応は、「この人、何やってんの?」とか、そういう感じでしかなくて、なかなか取り出すのに勇気が要ったりしたのですが。