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2004年07月07日(水)
「天才・ビートたけし」の本棚

「お笑い 男の星座〜芸能私闘編」(浅草キッド著・文藝春秋)より。

【(「B&B」の島田)洋七師匠も「やかましい!」と殿(ビートたけし)の頭をコヅきながら「やっぱりこの人とは違うねんな。部屋みたらわかるよ。おとっつぁん(たけし)の部屋って、本がものすごいあるやんか。もう、難しい、原子力の本から、エロ本まで。オレの部屋には本なんて一冊もないからな。だから言うてみりゃ、オレの方が本能のままの実力。殿は努力型と思うよ。そうやろ!」と笑い飛ばす。
 誰もが疑わなかった天才・ビートたけしが、じつは隠れた努力型で、対する凡人・島田洋七こそが真の天が与えた才であると!あらゆるホラ話が語り尽くされたこの夜、この発言こそが最も大胆なホラとも思えた。】

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 浅草キッドのお二人が書かれたこの文章なのですが、僕からしてみれば、たけしさんも洋七さんも「天才」の範疇ではあるんですけどね。
 それでも、その場のインスピレーションで語っていたようなたけしさん(例の事故からは、やはり少し変わられた印象もあるので)が、陰でものすごく広い範囲のことを勉強されていたのは事実のようです。
 「原子力の本」とか、本当に理解されていたのだろうか…
 おそらく、それは一例であって、驚くほど多種多様の専門書などが並んでいたのでしょうね。
 まあ、エロ本は趣味と実益を兼ねていたとしても。

 僕が子供の頃の「漫才ブーム」の時代、島田洋七さんがいた「B&B」とたけしさんがいた「ツービート」は、まさにブームの牽引車という存在でした。それからもう20年くらいの時間が経ち、あれだけたくさんいた芸人たちのうち、まだテレビでも姿を見られる人はごく一部です。
 たけしさんは、最近は映画監督として高名ですし「天才」の称号が似合う人だとは思うのですが、これを読んでみると、結局、同じ「天才たち」の中でも、他のタレントとたけしさんを分けたのは、「才能の差」というよりは「努力の差」だったような気がします。忙しい中、現状に甘えずに常に自分に新しいものをインプットしていく姿勢があればこそ、成功を持続してこられたのではないかなあ。
 どんなに「映画を撮る才能」があったとしても、最初は監督としてはド素人だったでしょうし。

 イチロー選手の本にも書いてありましたが、世間で「天才」と思われている人の多くは、陰でものすごい努力を続けています。才能だけでは、「天才」の一瞬のひらめきを見せることができても、それを持続するのは難しい。

 「努力する才能」っていうのも、あるのかもしれないよなあ…
 なんて、つい考えてもしまうんですけど。