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2004年03月08日(月)
みんな自分は鶴や亀

スポーツ報知の記事より。

【シダックスの野村克也GM兼監督(68)が7日、長嶋監督の入院後初めて報道陣の前に姿を見せた。埼玉・戸田市内のグラウンドで練習を見守った野村監督は、ミスター入院についてはコメントを控えたが、独自の健康法を披露することで長嶋監督を思いやった。

 一番衝撃を受けているのは、この人かもしれない。「その件については、一切話さないよ」心なしか、元気がない。同じ68歳。感じるものは山ほどある。

 「亀理論というのがあるんだよ。長生きする動物は動かない。亀は万年とも言うしな。運動は新幹線の階段の上り下りぐらいで十分」まるで、精力的にキャンプを視察した長嶋監督に対し、もっとゆっくりしようよと呼びかけているようでもあった。

 9日には社会人東京大会が初戦を迎える。野間口貴彦投手(20)の日本代表入りに向け、長嶋監督も視察の意向を示していた大会だ。言葉ではなく、勝利で。野村監督は最愛のライバルの快気を願い“68歳の意地”をプレゼントする。】

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 「長生きする動物は動かない」
 まあ、この言葉が長嶋監督への応援メッセージなのかどうかはともかくとして、これを聞いて、「野村さん、何年野球選手やってたんですか!」とツッコミたくなったのは、僕だけではないと思います。野村監督というのは、「こういう言い方しかできない人」なんだろうなあ、とはあらためて感じましたが。
 それにしても、これは記者の主観が多すぎる記事ではありますけどね。

 現実問題として、「自分より鍛えているはず」のスポーツ選手の早すぎる訃報にドキッとすることは、けっして珍しいことではないのです。もちろん、統計学的には、適度な運動や食事管理というのは、長生きのためには大事なこと。しかしながら、「運動すればするほどいい」のかというと、やりすぎは必ずしもプラスにならないのも事実だし、体にどんなに気をつけていても、有史以来「死ななかった人間」というのは、今のところ存在しません。そう考えると、どんな厳密な自己管理も「長生きできる可能性をアップする」だけで、自己管理と寿命は、人類全体では相関するとしても、個人レベルでは「どうしてあんなに気をつけていた人がこんなに早く…」ということもあれば「あんな滅茶苦茶な生活をしていても、長生きできるものなんだな」というケースは、星の数ほどあるのです。
自己管理と寿命が正比例するようでは、それはそれで人生面白みがないような気もするんですけどね。

 僕が思うに、長嶋さんが快癒されたら、たぶん「動かない人生」は選ばないと思うのです。たとえ、病気の再発のリスクが上がったとしても。誰だって、「長生きできるから、ずっとベッドに横になっているように」とか言われても、そんな人生は退屈でやりきれないでしょうから。それもまた、その人の宿命なんだろうな、なんて。人間は亀にはなれませんしね。
じっとしていても、死なないわけじゃない。結局、人間的に生きようと思えば、リスクを完全に排除なんてできないのです。結局、どこかで折り合いをつけて、リスクを受け入れていくしかない。
 ただし、一般論としては、自己管理をしている人のほうが、元気で長生きできます、それは、まぎれもない事実ですからね。

 でも、やっぱり僕も自分のこととなると、「気をつけても早死にするかもしれないし」とか「適当にやってても案外長生きできるんじゃないかな」なんて都合よく考えがちですが。