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2003年11月19日(水) ■ |
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韓国で「本場の焼肉」を食べた後に、食べたくなったもの |
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「人生を変える旅」(蔵前仁一編・幻冬舎文庫)より。
【旅で発見できることは、いろいろある。例えば、インド人は毎日カレーを食べているという事実もそのひとつである。そんなこと、わざわざ旅に出なくても知っている、という方も多いだろうが、インドの食べ物のほとんどはカレーであり、実はカレーとは香辛料を使用する料理の総称であることを知ると、少し物の見方も違ってくる(かもしれない)。 カレーとは何かがわかったからといって人生が変わるのか?と問われれば、変わるのである。その証拠に、インドに長居して、インドのカレーに飽きた日本人旅行者たちは、よく日本のカレーを懐かしがる。おそば屋さんのカレーが食べたいとグチをいうのだ。彼の人生のうち、カレーという概念が静かに変わってしまった瞬間である。こういう旅の日常を繰り返すうち、ある日は「牛」という概念が変わり、また別の日には「長距離列車」とイメージが変わり、そして次の日には「買い物」の考え方が変わっていく。】
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この話を読んで、僕は、3年ほど前に韓国に旅行したときのことを思い出しました。 「焼肉は韓国が本場」って、よく言われますよね。 「骨付きカルビを鋏でチョキチョキ切って食べると、美味しいんだよ」とかいう話を聞いたことがあったので、もともと焼肉好きですから、けっこう楽しみにしていたのです。 でも、現地で食べた焼肉の味は、「うーん…」というものでした。 いや、ものすごく不味いわけではないのです。でも、「やっぱり本場は美味しいなあ」というほどのものではありませんでした。 値段もそんなに安くはなかったですし、正直、期待はずれ。 もちろん、僕たちが行った店は観光客が連れて行かれるような店で、現地の人が行くような安くて美味しい店がほかにたくさんあるのかもしれませんけど… 帰りの船の中で、「日本に帰ったら、焼肉食べに行こう」とひとりで堅く誓っていましたし。 そういえば、キムチもどうも日本のものより酸味が強い感じで、僕の口には合わなかったんですよね。
誤解しないでいただきたいのは、僕が言いたいのは、「韓国の焼肉は不味い」ということではなくて、30年も日本人をやっている僕の好みは、やっぱり日本人的になっているんだなあ、ということなのです。 そして、日本ではさまざまな国の料理が食べられるのですが、何にしても、それなりに「日本人向け」にされているもののほうが好まれるのだろうと思います。 まあ、もともと日本人の「食」へのこだわりの強さは、世界に類を見ないものではあるのでしょうが。
九州に長い間住んでいると、ラーメンと言えば、トンコツラーメンがほとんどになります。 でも、僕は子供のころは広島在住で、醤油ラーメンも好きなので、ときどき無性に食べたくなるのです。 先日、近所にけっこう美味しい醤油ラーメンの店ができたんですが、この間行ったら、その店はアッサリ潰れていました。 僕の味覚からいけば、その店より不味いのに長年続いているトンコツラーメンの店なんて、この界隈には腐るほどあるのに… そういうふうに友人に尋ねてみたら、こんなことを言っていました。 「この辺は、とにかくトンコツスープじゃないとダメなんだよねえ…なんだか、醤油味とかだと、ラーメンって感じがしないもんなあ」 要するに、「トンコツラーメンじゃない」という時点で、かなり不利(人によっては「問題外」)なんですよね。
「やっぱり本場のものは違うねえ」とか何に対しても素直に思えるほど、味覚のグローバル化というのはたやすいものではないのでしょうね。 言葉よりも伝わりやすい面もあり、言葉より受け入れがたい面もあり。
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