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2003年10月04日(土)
だって、日本が赤く塗ってない!

「ばかちらし」(わかぎえふ著・集英社文庫)より。

【「尾崎ちゃん、アメリカってどこ?」ひとりが聞いた。尾崎は「バカにせんといて下さい。ここと、ここですよ」と北アメリカ大陸と南アメリカ大陸全部を指した。
 でた…やっぱりそんなもんか…みんなは内心大笑いしていたが、ぐっとこらえた。すると別のものがあきれて「もうええわ。尾崎ちゃん、ほんなら日本はどこや?」と冗談半分で聞いた。
 尾崎はそれを受けて、「日本は……」と指さしかけたがそもまま止まってしまった。さすがに我々は心配して「おいおい、日本も知らんのか?」と突っこんだが、その時彼女はすこしもあわてず「だって…日本は赤く塗ってあるもんやのに…この地図は違うから分かれへん」と言った。
 小学校以来、地図は見ていないようである。】

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 この「尾崎ちゃん」こと尾崎美樹さんは、これが書かれた当時は24歳の女性だったそうです。
 「話を聞かない男、地図の読めない女」という本がベストセラーになりましたが、いくらなんでも、日本くらいはわかるんじゃないか?と思うのですが。
 とか言いつつ、僕は九州なので、九州内の県名はわかりますが、関東や東北(いや、さすがに北海道はわかるけど)の県名とかは、微妙なところがあります。
 神奈川や宮城はわかっても、「群馬と栃木はどっちが東でどっちが西?」とか聞かれると、ちょっと考え込んでしまうのです。
 だから、関東の人が「佐賀ってどこ?」とか思ってしまうのも当然のことかもしれませんね(ごめんね佐賀県)。
 地図というのは、自分に縁が薄い土地だと、意外とわからないもの。
 そのくせ、県庁所在地だけは覚えていたり。
 そういうのは、あんまり実用的な知識ではないんだろうけど。

 ところで、この「日本は赤く塗ってあるもんやのに…」というのは、なんとなく頷けるような気もするのです。確かに、赤く塗ってあることが多いような記憶がありますし。
 アメリカに行ったとき、そこの本屋で地図を見て、僕は一瞬「日本が載ってない!」と思ったのです。よく探してみると、日本は、端っこのほうに小さく、歪んだ形で載っていました。地図の真ん中から離れると、(日本人の感覚からいうと)形が歪んでしまうのです。

 それは、僕たちが一般的に使っている世界地図の真ん中の日本とは、違うものに見えました。
 まあ、それでもやっぱり、「わからなくて仕方がない」とまでは、言えないけれど。

 それに、僕たちは、意外と物事を本質とは関係ないもので記憶してしまうことって、多いですよね。
 例えば、自宅での車の車庫入れのときに、「バックミラーに、あのポールが見えてきたところでハンドルを切るとちょうどいい」とか。
 それは、わかりやすくてすごく便利なんだけど、他の駐車場では使えない方法なわけです。

 物事をわかりやすくするために役立つことはいろいろあるのですが、それがどんな場合でも応用可能なものかどうかは、常に考えておいたほうがよさそうです。

 それにしても…「尾崎さん、ひょっとして、カラー地図しか見たことなかったんですか?」という疑問は、湧き上がってはくるんですけどね。
 だって、地図帳の最初のページに載ってるくらいだよ、カラー地図って。

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