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2003年05月05日(月)
「すべてが繋がっている」という幻想の魔力。


「ダ・ヴィンチ」(メディアファクトリー)より。

「わかった!運がよくなるコツ」(廣済堂出版)の著者・浅見帆帆子さんのインタビュー記事より。

【当時家庭教師をしていた帆帆子さんは、そこで一生懸命に教えた。するとその家の人から「ある会社のインテリアの仕事を手伝って」という話があり、依頼先に行ってみるとそこがたまたま出版社で、「何か本を書いてみないか」と突然言われ、書いた本がベストセラーに……。何とも不思議な話。けれどこれは決して偶然ではなく、自分の意識の力が創り出したもの。と帆帆子さんは断言する。一見、関係のないことでも実はすべて繋がっているのだと。】

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 なるほど、そうなのか!とは思えないんですよねえ、これ。
 「すべての出来事には必然性がある」というけれど、彼女の活躍は、けっこう偶然の要素が大きいのではないかと思います。
 でも、彼女は、その成功は「偶然じゃない」と自分で信じているわけですよね。

 昔の雑誌の裏表紙には「幸運を呼ぶピラミッドパワー」とか「ヒランヤラピス」とかの広告が、よく載ってましたよね。そこにはだいたい「ラピスを身につけたら彼女ができました!」とか「成績がグングンアップ!」というような「使用者の喜びの声」が一緒に掲載されていました。
 そういうのを読んで「怪しそうだけど、ひょっとして…」と読者は興味を惹かれるのです。まさに、溺れるものは藁をもつかむ、というような心境で。
 
 まあ、こういう記事の多くは「ヤラセ」らしいのですが、中には本当に「幸せになった人」もいるとは思います。でも、それはラピスのせいかどうか?
 たとえば、彼女がいない男子高校生が100人ラピスを買ったとしたら、しばらくすればひとりやふたりは彼女ができておかしくないと思います。でも、それがラピスのおかげかというと、たぶん、ラピスを持ってない高校生100人でも、同じような結果になると思います。
 それでも、信じることによって積極的になれたり、気持ちが前向きになれたりすれば、少しは違うのかもしれないけれど。
 
 そういう統計学的な比較もせずに、「偶然じゃない」と言い切ってしまったり、それを信じ込んでしまうのは、あまりにオカルト。
 結局「本の通りにしたけれど、全然変わらない!」という人の声が公になることはないでしょうし。
 そういう意味では、ラピスも帆帆子さんの考えも、そんなに変わりないような気がします。
 だいたい、彼女の本が売れたのは、出版社の努力のたまものでもあるわけですから。
 竹藪で一億円拾ったひとがいたからといって、すべての竹藪にお金が落ちてるわけじゃない。
 自分の力で道を切りひらくことができるとしても、逆に、運がよかったのは自分の力だというような発想はどうかなあ、という気もします。