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2002年11月22日(金)
果物を上手に食べられる人、食べられない人。


「ありがとうございません」(檀ふみ著・幻冬舎文庫)より抜粋。

(著者が、中国の映画祭で高倉健さんと同席した際に、高倉さんが上手にナイフとフォークで桃を食べている姿を見て)

【冷や汗をかいて再び健サンのほうへ目をやった。健サンはフォークとナイフで器用に種をとり、皮をむき、涼やかにお口に運んでいる。
 「あんなに上手に果物を食べる人、見たことない」と名取(裕子)嬢も感心していたが、さながら手品であった。
 「そういえばイギリスの本にあったなァ。本当に育ちのいい人は果物を食べさせてみればわかるって」
 ある朝食会で健サンの話をしたら、隣にいらした日下公人さんがそうおっしゃった。
「果物をじょうずにに食べる、フォークを汚さない。これが紳士の条件だそうですよ」そのとき日下さんは目玉焼きと格闘中だった。そして、ご自分のフォークをじっとご覧になって、嘆かわしそうに首を横に振られた。】

〜〜〜〜〜〜〜

 食べ方の美しい人って、確かにそれだけで上品に見えますよね。
 テーブルマナーがキチンとしている人とか、そこまで堅苦しくない席でも、焼き魚を骨だけ残してキレイに食べられる人なんて、ものすごく憧れます。
 僕なんか、焼き魚を食べたあとは、いつも「魚さん、ゴメン!」といいたくなるような惨状を呈しているのに。
 男としては、そんな女の子の姿をみると、ポイントアップ著明。
 それだけで、「ああ、しっかりした人なんだなあ」と思いこんでしまいます。

 フォークの話は初耳だったんですが、前に、「良家の子女は、箸を先の方しか濡らさないで食事をする。濡れている範囲が短いほど育ちがいい」という話を聞き、実践してみたことがあります。
 ちなみに、結果は悲惨の極致。途中でオカズは箸から落とすは、時間はかかるわで、「良家の子女作戦」は、あっさり挫折してしまいました。
 やっぱり、大人になってから急に付け焼刃でやっても、できるってものじゃないみたいですね。
 日頃からの鍛錬が大事みたい。

 確かに、一緒に食事をしていて楽しいっていうのは、人間関係において、けっこう大事な部分。食事の仕方で印象も変わってくるかもしれない。
 以前、羽賀研二が「レストランで出された料理を皿に顔を押し付けるようにして、ろくに切りもせずに、ガツガツ食べる」(いわゆる、「犬食い」のひどいやつって感じでしょうか)という噂を聞いたときは、それだけで「下品なヤツだなあ…」と思ってしまいましたし。
 いくら好きな人でも、そんな食べ方を自分と一緒のときにされちゃあ、千年の恋も醒めるってものです。

 とか言いながら、僕は「ご飯をフォークの背に乗せて食べる女の子」が許せないのです、実は。
 正直、「そんなまだるっこしいことしてお上品ぶってないで、さっさと食べろよ!」と思ってしまいます。
 もちろん、口には出せませんけど。