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2002年03月24日(日)
2002年3月24日。

「アカデミー賞」(川本三郎著・中公新書)より抜粋。

【「ノーマ・レイ」(79年)に続き「プレイス・イン・ザ・ハート」(84年)で二度目の主演女優賞を受賞したサリー・フィールドのスピーチも心情がこもっていた。「私はきちんとしたキャリアのない女優です。だから人に尊敬されたかった。最初に受賞したときは、それを感じ取れなかった。でも、今回は違います」。そして彼女は目に涙を浮かべて言った。「ライト・ナウ、ユー・ライク・ミー!(今度こそほんとうに、みんな私のことが好きだってことがわかった!)」。
しかし、この「ユー・ライク・ミー」は彼女の自信過剰のあらわれと見られ、悪評を呼んだ。】

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もうすぐ、今年のアカデミー賞の発表ですね。授賞式を観ていて思うのは、外国の人は(まあ、彼らが芸能人であるからかもしれませんが)みんなスピーチなれしてるなあ、ということです。まあ、中には慣れすぎてて、演技論を長々とやって嫌われてしまう人なんかもいるようですが。
で、この「ユー・ライク・ミー」なんですが、逆に考えると、サリー・フィールドは、この2回目のオスカーを獲るまで、「自分は、ほんとにみんなに好かれているんだろうか?」という不安を抱えていたということですね。オスカーを最初に獲った時点でも、まだ信じられていない。
人気商売の辛いところといわれれば、それまでなのかもしれないけれど、こういう「ほんとは、嫌われているんじゃないか?」という不安って、誰の心の中にもあるはずで、たとえこの一瞬だけでも「ユー・ライク・ミー!」と言えた彼女は、幸せな女優であり、人間だと思います。

しかし、そんな彼女の心の声を「思い上がり」という外野もまた出てくるわけで。多くの人に愛されると、逆に妬まれたり、憎まれたりすることも多くなるんですね。愛されるのも、なかなか難しい。

それでも、僕も一度でも心からそう感じながら言ってみたい。
「ユー・ライク・ミー!」