ぴよの映画めった斬りコーナー
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【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2007年06月18日(月) 怪談

監督:中田秀夫
出演:尾上菊之助
    黒木瞳
    瀬戸朝香、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
美貌で身持ちの硬い富本の女師匠「豊志賀」は、煙草売りの「新吉」と出会い2人は恋仲になった。ところが実は新吉の父が豊志賀の父を殺害したという因縁があったのだ。事情を互いに知らぬ2人は夫婦同然の生活を始めるが、新吉に惚れ込む余りに嫉妬に狂った豊志賀は、評判を落として弟子が次々去って行く。そんなある日、豊志賀の顔に醜い腫れ物が出来、新吉が懸命に看病するもののどんどん悪化し、それにつれて豊志賀の嫉妬は益々激しくなるのだった。


【感想】
ハリウッド進出も果たした「世界に認められたジャパニーズ・ホラーの旗手」中田秀夫監督の最新作。
原作?は三遊亭圓朝(初代・1839〜1900年)創作の「真景累ヶ淵」、今も語り継がれるこの名作落語ネタを、中田流にアレンジして(元ネタは全て語ると8時間位かかるそーだ)映画として復活させた・・・という感じかな?

それこそ昔から「古典怪談」「古典落語」「古典小噺」ネタはいくつも何度も映画化されていると思いますが、そういう意味では話自体に新鮮味というのは正直ありません。
でもそこは流石の中田氏、とにかく映像がキレイ。ホラー独特の不安感を煽る映像演出もさる事ながら、光線の入り具合や雨や雪の降る景色の見せ方、上からの視点・下からの視点、更に映像と音(劇中音楽)のコラボレーションも絶妙だったと思います。「怖い」と言うよりも「幻想的」な時代物、という感じか。

「中田氏の新作ホラー」だと期待して見ると肩透かしを食らう可能性は高いですが、「古典落語(噺)の映画化」だと心して見れば、本作はなかなか見応えのある作りになっているな・・・という感じですね。

ですから「四谷怪談」等の古典怪談の展開やネタを知っている日本人が本作を見ると「どうして今このネタをわざわざ中田氏は映画化しようと思った訳ぇ?」と首をひねりたくなるんですが(苦笑)、もしかしたら本作はあくまでも日本人向けに作った訳ではなくて、初めから「海外輸出」を念頭に企画されたのかもしれません。
・・・そう考えれば、あの季節違いな「見栄えだけする」着物と小物の合せ方や着こなしも納得が行く(こらこら)

本作はとにかく黒木瞳さんの鬼気迫る演技が目を奪いましたね。
年増になっても尚色香の薫る美しい婦人が、若い色男に入れ揚げて恋に狂い、若い恋人の心変わりを恐れて自分を見失ってしまう、愛するが故に恋人に近付く妙齢の女性に誰彼なく嫉妬の炎を燃やす、更には唯一自分が若い恋人を繋ぎ止めていられる(と信じていた)美貌を失った女の絶望感、そんな自分を見捨てようとする男に対する「可愛さ余って憎さ百倍」の恨みつらみ、死んでも尚も若い恋人の愛を独り占めしたいという狂おしいまでの女心・・・

正直、ぴよが男だったらいくら美しい人でもこんな女はごめんですが(をい)、女性としての立場で考えてみると誰もが一度は考えるのは「この人の最後の女でいたい」「自分がこの人の人生最愛の人でありたい」という事だと思う。
その究極の形が本作なのだ・・・そう思うと、何とも切なく苦しい話でしたし、本作の黒木さんの演技は女性心理を巧みに表現しつつ、しかもホラーとしての心理的恐怖感を煽るのに長けていたと思いましたね。

そんな訳で、映画前半〜黒木さん演じる「豊志賀」が亡くなるまでのくだりは相当見応えがあったのですが、豊志賀が死んでからの展開がもうグダグダ(苦笑)
決して演出や映像が悪いという訳ではないけど、黒木さんの演技に圧倒された後だけに、その後を引き継ぐ女優さんの演技が余りにも華を感じさせなかった・・・という感じですか。

基本的に古典噺を映画化しているので内容についてアレコレ言う程の新鮮味はありませんが、最近ちょっと日本で復活傾向にある「時代物」のジャンルとして考えると、本作はなかなか良く出来ている部類だと思いましたよ。
・・・でも本作は正直言って「年配向け」な内容だからなぁ。若者には余りウケない可能性が高い気がしますよ(苦笑)






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