監督:リチャード・ドナー 出演:ブルース・ウィリス モス・デフ デビッド・モース、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 夜勤明けで署に戻った酒浸りの中年刑事ジャックは、帰る所を上司に呼び止められて16ブロック先の裁判所に今日の法廷で証人として出廷する予定の囚人エディを護送するように言い渡された。渋々引き受けて車にエディを乗せて走り出すも、おしゃべりなエディに辟易して車を途中で止めて酒屋で酒を買うジャック。ところが酒屋から出てみると、何者かがエディを殺そうとしている。慌てて相手を射殺して逃走するジャック達だったが・・・
【感想】 リーサル・ウェポンシリーズのリチャード・ドナー監督×ブルース・ウィリス主演の新作。 エディ役をヒップ・ホップ界のカリスマ、モス・デフが演じ、ジャックとかつて仕事の相棒だったフランク刑事役を様々な作品でキラリと光る演技を見せる印象的な名脇役デビッド・モースが演じています。
今回のブルースはいつものヒーローっぷりとはまるで違う。 酒ばっかり飲んで腹はたるみ、年下の上司に顎で使われるような典型的「署内のお荷物刑事」を演じている。 最初に登場した時、余りにだらしない様子に一瞬ブルースだと気付かなかった・・・あの特徴のあるおでこのハゲ上がり方でようやく彼だと気付いたというくらい、かつての精悍なヒーローを演じたブルース・ウィルスとこのオッサンは本当に同一人物なのか?と疑いたくなるくらいビジュアルにギャップがある。
それが護送中の囚人エディが何者かに命を狙われて、狙撃一発で敵を仕留めた瞬間に「シャキーン☆」といつものブルースらしい精悍な目付きに早変わり。ドびっくり。 どうやらジャックはかつては敏腕刑事として腕を鳴らしたものの、何かがあって今は落ちぶれてしまったらしい・・・という事をセリフじゃなくてジャックの様子でうまい具合に観客に説明している訳です。
この作品、ジャックとエディのキャラクターの肉付けとキャラが持っている背景の見せ方が実に巧みでした。 最初は全くキャラの背景が判らないのですが、見ている内に2人の会話や態度からさりげなく観客に「こういう事か」と悟らせるように誘導している。 更にジャックとエディの関係も、単なる任務で護送している刑事と鬱陶しいお調子者囚人というだけの関係から、そのウザいエディとの会話を延々見せる内に少しずつお互いが信頼関係を結ぶ様子を実に上手く見せて行きます。
それにしてもエディのマシンガントークはちょっとウザ過ぎるな。 自分の命が狙われてると判っているクセに余りに能天気にド喋り過ぎて、見ててイライラしちゃいますヨ(苦笑) ・・・まあ、彼のド喋りが後のいい伏線になってるので致し方ないんですがネ。
かなり緊迫するシーンもあって、ハラハラドキドキさせてくれて見せ場も多く、しかもいいテンポで話も進むのでソツなく見られる「お約束バディムービー」として楽しめるのですが・・・ちょっとご都合主義に走り過ぎる感は否めません。 どんなに絶体絶命のピンチも、行き当たりばったりで動くと何もかもが上手い具合に展開する。展開し過ぎる(苦笑) 最終的にはジャックチームの勝ちなのは判り切ってるからいいんだけどサ、逆に言えば判り切ってる結末なんだから、せめて逃走手段の展開くらい多少頭脳戦を見せて観客を驚かせてくれたって良さそうなモノなのになぁ〜
そんな訳で「ま、ありがちなタイプだよな。昔よく似た展開の映画見たよな〜」と白々とした気分で見てたんですが・・・
この映画は「ラスト」が一番良かった! 「ありきたりな追いかけっこドラマ」が終わり、後はお軽い締めネタでお茶濁してスタッフロールか・・・と思っていたら、最後の最後でお前らオイシ過ぎるからー!って感じですよ。 逃げまくりながらエディがどーでもいい話をやたら延々ド喋ってんなぁと思ってたら、まさかこー来ましたかと。
ま、確かに半年もすればタイトルも忘れちゃいそうなありきたりな話なんですが(をい) ラストシーンが良かったので一気にこの作品は高評価になったな。正に「終わり良ければ全て良し」ですよ。
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