監督:ジョセフ・ルーベン 出演:ジュリアン・ムーア ドミニク・ウェスト ゲイリー・シニーズ、他 オススメ度:☆☆☆
【あらすじ】 一人息子のサムを飛行機事故で喪って14ヶ月。テリーは未だに息子の死から立ち直れずにいた。そんなある日彼女の周囲で奇妙な変化が起こる。自分の周囲からサムの痕跡が全くなくなってしまったのだ。半狂乱になったテリーに主治医の精神科医は「アナタには元々子供がいなかった」と告げる。息子の存在を信じるテリーは、サムの存在を取り戻す為にサムの友達ローレンの父親アッシュの元を訪ねるのだが・・・
【感想】 2004年9月に全米公開されるや初登場1位を記録して、「シックス・センス以来、最も衝撃的なスリラー」という予告編のキャッチフレーズで話題のサスペンススリラー。 一人息子のサムを喪って心の傷が癒えないテリーを演じるのは、演技力の評価は折り紙付きのジュリアン・ムーア。 監督は「愛がこわれるとき」「危険な遊び」等、サスペンス物が得意のジョセフ・ルーベン氏という磐石な組合せ。
以下、本作の感想を書くとどれもこれもネタバレしそうです。 先入観なしに本作を楽しみたい方は、これから先は読まない方がいと思います。
とにかく予告編見た段階でめっちゃ期待してた作品ですが、予告編で見せ過ぎてるような気はしてたんですよ。 絶対に存在していたハズの息子が、ある日を境に全く痕跡がなくなってしまう。 ここまでは予告編で流してもOKだと思う。だけど予告編ではその後に夫まで自分の存在を忘れてしまうというシーンが映し出されていますよね?コレは見せ過ぎだとぴよは思いましたよ。
その存在の不確かなのが息子だけなら、映画序盤でテリーが記憶障害を持っているという伏線がバッチリ生きると思うんですが、それが夫にまで到ると「こりゃー何かきな臭いな」と誰もがオチをある程度想定すると思うんですよ。 ありきたりなトコロだと「霊ネタ」「エイリアンネタ」、ひねったトコロで「本当にテリーは記憶障害だった」辺りか。
この作品の大失敗は、映画冒頭でかなり面白くなりそうな伏線を張っているのに、観客にオチを想像させる間もなくネタの落としどころを限定させてしまうという部分でしょう。 通常なら「そーは言ってもまだどんでん返しがあるよネ?」と、更に観客をミスリードさせるハズなのですが、本作は予告編で「夫すらテリーの存在を忘れてしまう」というシーンを見せている為に、この後にどんでん返しは在り得ない、もうコレしかオチはない!と誰もが悟ってしまうんですよ(^-^;
オチを早々に観客に提示するなら、せめて映画の中の登場人物に事件の真相を追う第三者を加える事で、話を膨らませたり観客を更にミスリードするしかお楽しみがなくなってしまうと思うんですわ。 一応本作ではその役回りとして、地元の警察官ポープ刑事をあてがっている(と思う)ものの、ポープ刑事の使い方が余りに稚拙過ぎて単なるB級スリラー物に成り下がってしまいました。
ジュリアン・ムーアの演技は相変わらず磐石ですから(でも実言うと、ぴよはあんまり彼女が好きじゃないのさ)、母と子の絆の深さというヒューマン的な部分の描写は丁寧ですよ。子供のいる方だったら彼女の演技にホロリと来るでしょう。 いや、きっとこの作品のヒューマン部分に感動する事間違いなしでしょう。
ですが、「サスペンス・スリラー映画」として考えるとどうでしょう? とてもじゃないけど評価出来るものではありません。むしろ「サスペンス映画」というカテゴリは間違っていると誰もが思うに違いない。この作品はサスペンスではなく、あくまでも「X-FILE」的SFドラマだと誰もが納得出来るでしょう。 要するに、映画配給会社の宣伝の仕方が大問題な訳ですよ。予告編で見せなくてもいい部分まで見せておいて、キャッチコピーはあくまでもサスペンス・スリラーと言い張る。これはどーにもいただけません。
せめて「SFヒューマンドラマ」と言ってくれたら、もっとこの映画の評価は上がったでしょう。 これは映画配給会社の大罪ですよ!予告編の作り方をもーちょっと考えて欲しいっすね。
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