ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
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【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2004年01月08日(木) 解夏 -げげ-

監督:磯村一路
出演:大沢たかお
    石田ゆり子
    富司純子、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
東京での教師生活、恋人の陽子を捨て、故郷・長崎に戻って来た隆之。彼は「ベーチェット病」という難病になり、いつか失明する運命にあったのだ。母親に自分の病気の事がなかなか告げられない隆之は悶々とし、失明の恐怖に日々苦悩する。
そこへ陽子が東京からやって来た。「私は隆之の目になりたい」とすがる陽子だったが・・・


【感想】
さだまさし氏原作の同名小説の映画化。前作「精霊流し」もそうですが、さだ氏の故郷・長崎を舞台に人間模様を綴る「ご当地映画」の王道です。ご当地映画とあって、長崎中の美しい風景を探し回ったんであろう・・・他地方の人が思い描く「長崎」のイメージを大切にした景色がこれでもか!と、ふんだんにスクリーンに出て来る。
この映画を見て、次回の旅行先を長崎に決める人も多いでしょう。・・・長崎観光協会は大喜びだネ♪(笑)

この映画を見る上でキーワードになるのはもちろんタイトルにもなっている「解夏(げげ)」という言葉。
映画中でもこの言葉の意味についての説明がありますが、「解夏」とは仏教用語。インドの修行僧が雨季明けから夏の間托鉢等をしながら修行行脚をするのだそうですが、修行を始める日を「結夏(けつげ)」と言い、そして修行を終える日を「解夏」と呼ぶのだそーだ。

映画中、寺の住職に「あなたはこれから失明していく恐怖に恐れ、苦悩していくでしょう。しかし失明した日に、自分がいつ失明するのかという恐怖から解放されるのです」と説かれるくだりがあるんだけど、これはなるほどな・・・と思った。

難病になり、故郷・長崎に戻って苦悩の業を背負った日を「結夏」、悩み、悲しみ、苦しみ、悶え、そして失明する事によってそれらから解放される日を「解夏」に当てはめて映画は進行する。

難病に苦悩し、恋人の幸せの為に別れようと決心する主人公。愛するが故、隆之の病を共に背負い生きる事を望む恋人。主人公を優しく支える家族と故郷の友人達の暖かい愛・・・どれもこれも王道過ぎる王道、ど真ん中ストライクのベッタベタなネタですが、これはキャスト勝ちだと言っていいでしょうな。

正直言ってちょっと展開がぬるい感じがしたんだけど、これはもう主人公・隆之を演じた大沢たかおクンの演技1人勝ちと言わざるを得ないでしょう。大沢クンはこの手の役がハマり過ぎです♪
亡き父が眠る高台の墓地に1人でやって来て慟哭するシーンには、さすがの冷酷・ぴよも「くうぅ〜!」となっちゃったさ。
また音楽がうまい具合にシーンに被るんだよなぁ・・・映画音楽を担当しているのは、さだ氏の音楽プロデューサーでもある渡辺俊幸氏ですが、実に映画を効果的に盛り上げる役割を果たしていると思う。
脚本のゆるい部分を音楽と役者の演技でカバーするという、正に夫唱婦随のいいコントラストしてますわ(をい)

失明する、というのは闇の世界に入る事ではないのだそーだ。
闇という「光」を失うのだそーだ。
光あってこその闇・・・失明した人の視界はまるで白い靄の中に立っているような状態なんだそーです。

自分の視力がもし失われるとしたら、最後に見たいモノは何だろう?
この映画のラストで隆之は恋人に優しく語り掛ける。
彼は「解夏」を迎え、心静かになった・・・実際はどうなんだろう?自分が視力を失ったらどうなんだろう?

この映画に限っては、こういうラストで正解だったと思うけど。
この手のセンチメンタルなご当地映画に、生々し過ぎるラストはやっぱり不似合いだと思うしね・・・





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