監督:ピート・ジョーンズ 出演:アディ・スタイン マイク・ワインバーグ アイダン・クイン、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 ピートはアイルランド系カトリックの大家族で育つ8歳の少年。夏休みに入る直前シスターに「あなたはこのままでは地獄行きだ」と言われて、どうしたら天国に行けるようになるか<探求>を始めた。お兄ちゃんの話だと、異教徒をカトリックに改宗させると「聖人」になって天国に行けるらしい・・・? ある日ユダヤ人の白血病の少年「ダニー」に出会い、ダニーを改宗させれば、ダニーも自分も天国に行く事が出来ると確信したピート。ダニーと2人で「天国への道」への<探求>が始まったのだ・・・
【感想】 マット・デイモン、ベン・アフレックの仲良しコンビが発案したオンライン脚本コンテスト「プロジェクト・グリーンライト」に寄せられた12000本の脚本の中から選ばれた珠玉の一作。
話はかなり宗教色の濃いネタ・・つーかモロ宗教ネタなんだけど、特にお堅い感じじゃーないっす。 この映画では「カトリック」と「ユダヤ教」、「白人」と「ユダヤ人」という違いを取り上げているけど、大事なのはその部分じゃなくて、ピート少年が<探求>する事で見つける真理。
この世の中で起こる戦争やテロ、差別の大部分は「宗教の違い」と「人種の違い」から来るものだと思う。
宗教や人種が違うと、何故人は対立するのか? 何故人は、自分と違う宗教を信仰している人や、人種が違う人を差別するのか?
「天国に行けるようになるにはどうしたらいいか?」という<探求>の答えをピート少年が導き出した時、上に列挙した大人でも解決出来ない難題に対して、実にシンプルで、当たり前で、至極簡単で、でも大人の誰1人として実行する事が出来なかった答えを、目を輝かせながら口にする。そして彼ならそれを成し得る事が出来るだろう・・・
子供は純粋で、そして純粋が故残酷だ。 ピートはユダヤ人で白血病の少年ダニーに「君はユダヤ人だから天国には行けないんだ!」と言う。 ダニーは敬虔なユダヤ教徒の両親の前で「僕はこれが気に入っているんだ」と言いながら平気で十字架を切る。
どちらも大人のぴよの目から見たら「そりゃねーよ」とツッコミ入れたくなるシーンだけど、子供というのは反応がストレートで、そして何色にも染まっていない、非常にニュートラルな存在なんだと思う。 だからこそ、素直に疑問を口にする。そして自分の力を信じて限界までチャレンジする。大人なら「これはさすがにムリだわ」と思うような事も、頑張ればきっと出来ると信じて、恐れず、諦めず、何度でもトライする。
ピートの<探求>を阻もうとするのは大人だ。 常識やプライド、つまらない自尊心にとらわれて子供の無限の可能性を阻むのは、紛れもなく大人で、そしてそれを後押し出来る唯一無二の存在もまた大人達なのだ。
これはこの映画が本来発しているメッセージとはちょっと違うんだろうけど、ぴよはこの作品を見ながら、今世間を賑わす少年犯罪の原因だったり、子供の心の声に大人はどうやって向き合うべきなのか・・ そんな事まで考えさせられてしまった。
|