監督:マーク・ロマネク 出演:ロビン・ウィリアムズ コニー・ニールセン ミシェル・ヴァルタン、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 巨大スーパーマーケット「サブ・マート」の一角、写真カウンターで働く男「サイ」は、家族も恋人も友人もいない孤独な男だ。この写真カウンターの常連客「ニーナ・ヨーキン」は、彼にとって特別な存在だ。裕福でハンサムな夫、心優しくて愛らしい息子、サイにはない全てのモノに囲まれたヨーキン家の写真を長年現像している彼は、いつしか自分がこの幸福な一家の一員になったような妄想にふけっていったのだが・・・
【感想】 昨年夏公開になった「インソムニア」で、一見大人しい善良な人間に見えて、実はかなりイッちゃってる犯人役を見事に演じ切った名優「ロビン・ウィリアムズ」が、今度は超ヤバヤバなストーカー役で登場!
サイの自宅は、彼の性格や人生を反映するかのように、白っぽいグレーで統一され、一分の隙もないように几帳面に片付けられていて、殺風景で寒々しい。また、サイの勤めるスーパーマーケットの店内も、妙に明るい照明に、巨大な店内は頭の上までの高い棚が整然と並び、完璧なシンメトリーを形成していて、逆に心もとないような不安な感じを与える。 この映画は視覚的にも実に計算されていて、見る側に自然に恐怖感を持たせるように作られていてウマい!
この映画は、ロビン・ウィリアムズの演技1つで良くも悪くもなるという、正に彼の独壇場な作品だけど・・・ロビン・ウィリアムズが、どれくらいこの「サイ」という役にのめり込んだかがよーくわかる! とにかく、見ていて悲しいやら、哀れだわ、淋しいやら、気持ち悪いやら(笑)、この嫌味な程生真面目で、一見するとどこにでもいる普通のおっさん・・でも実はギリギリの狂気にかられている男を、本当に「こんなヤツ、実際ごまんといるよなぁ」と思わせるくらいナチュラルに演じてるんだわよ! ・・・ロビン・ウィリアムズって本当はこーいう人だったん?って錯覚しそうなくらいにね。(あはは)
「ストーカー」というタイトルから、サイが相当執拗な嫌がらせをしたり、脅迫めいた事をバンバンするかのよーな予想をしがちだけど、映画中で彼がヨーキン家の人に対して、直接的に何か不快な行動を起こすというシーンは、クライマックスの1シーンだけ。ちょっと拍子抜けしちゃう?・・・いやいや、この押さえた展開が、逆に「こんな事、本当にいくらでもありそう〜!」という恐怖感を増幅させてると思ったけどね。
もっと言えば、 これくらいの妄想や願望は誰だってあるよねぇ?勿論この私も・・くらいに思えて、自分が怖くなっちゃうかも。
映画冒頭にサイが見せる微妙な泣き笑いのような表情、そしてラストの空想に更ける哀しい笑顔が・・・ 余りに切なくて、淋しくて、そして救いがなくて。 実はぴよ、こーいうまるで救いのない話って、悲しくなっちゃってダメなのよね。(^_^;)
|