監督:ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン 出演:ビリー・ボブ・ソーントン フランシス・マクドーマンド ジェームズ・ガンドルフィーニ、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 1949年北カルフォルニア・サンタローザの町。エド・クラインはこの町でたまたま結婚した妻の実家が床屋だったという理由で床屋を継いだ男だ。もっともその床屋は義兄のモノでエドはただの雇われ理髪師にすぎないが。 妻はデパートの経理の職についている。そしてそのデパートの上司デイブと不倫の関係にあると気付いている。 そんなある日、たまたま床屋の客として来た男から「ドライ・クリーニング」という新しい事業の投資話を聞く。それまで淡々と日々を暮らして来たエドにいささかの野心が芽生えた。その野心が思わぬ展開を見せていくのだ・・
【感想】 コーエン兄弟と言えば映画マニアには相当有名な記号みたいなもんなんですかね? ぴよはあまり単館ロードショー系を見てこなかったおバカなのでほとんど知識ありませんでした(^-^;
全編モノクロ映像で、しかも主人公エドの語りで映画は静かに進行して行く・・・これがすっごいツボにハマる!! この映画について何も知識を入れずに行ったんだけど、こんな衝撃的展開の映画だとは思ってもみなかった!しかもこんなに衝撃的な展開にも関わらず実に淡々とエドは語り続けているのです・・・このギャップは成功していると思う。本当に独特の世界観がそこに横たわるのです。
映像が実に美しい!モノクロの光と影を巧みに使って、人の表情や空気感やエドの語りを生かしている。 更にこの映画のいいのは音楽ね。映画中で何度もピアノで弾かれる(そして決してお上手とは言えない)ベートーベンのピアノ・ソナタがこのモノクロ映像におセンチな感傷を沿えていて絶妙なのです♪(そしてこのピアノを弾く少女とエドの関わり合いも面白い)
映画を支配する沈黙。それをエドが気難しい顔でタバコを吸う姿だけで余計な説明を全て省いている。 観客に対してご親切な講釈を垂れまくる昨今の映画とはまるで逆行している演出にも関わらず、この終始潔いとも言えるスタンスがいつの間にか見る人を惹き付けているから驚きです。しかもただ淡々としてるだけじゃなくて、その中に微妙でシニカルな笑いをコソコソと入れる辺りはメジャー映画ではちょっとお目にかかれない通な面白さがあって相当楽しかったっす♪
想像もしなかった結末だけど・・・これはある意味で癒しの映画なのかもしれませんね。 きっとこの結末でエドは救われたんだと思う。 見た者を癒すんではなくて、映画中のエドが癒される事で観客を納得させるよーな・・・ちょっと表現難しいんだけど(^-^;
この映画、カラーじゃなくて本当によかった! もしカラー映画だったら相当陳腐な映像に見えたんじゃないかと思う。(苦笑) 独特の映像美と淡々としながらも惹き付ける展開。実に面白くて心に残る映画でしたわ♪
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