Sotto voce
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前回日記からの続きになるが。
過去3年分のメールのログを遡りながら、 友人知人のアドレスデータを再登録する作業をしていたら、 3年前のあるメールでふと手が止まった。
そのメールの相手は、かつての飲み仲間。 SNSのカラオケコミュがきっかけで出会い、 やがて歌好き酒好きということで意気投合し。
彼女に出会うまで、 周りがちやほやしてくるのを真に受けて 唄に関してはちょっと天狗になっていたけれど、 彼女の歌声を生で聴いたときの衝撃といったらもう。
後に彼女が、 日本で3本の指に入る歌姫の名を自分のHNにしても 誰も文句を言わないどころか納得してしまうほどの歌声。
後にカラオケコミュを追い出される格好になった我々が、 新たにコミュを立ち上げたわけだが、 元々いたコミュから、新コミュへごっそりとメンバーが移籍したのは ひとえに彼女の魅力あってこそだろう。
彼女は、そのコミュの主宰と交際していた。 相手は妻子もちだと言うのに、 彼女は堂々としたもので、 「●●さんは私のもの!」と誰にでも宣言して 私はそれを傍から冷や冷やしながら眺めていた。
うまく行っていたのは、最初の数ヶ月だけ。 だんだんその歯車が狂い始め、 やがて二人は破局する。
その頃から彼女はだんだんおかしくなっていく。 そして、彼女と距離を置く人間も増えてきた。 私も、その一人。
後に聞いた話だが、 彼女は私のことも疑っていた。 紗月は●●さんのことを好きなんじゃないか、と。
その当時、私に好きな人がいたことも、 一方で、心からずっと消えない存在があることも 彼女は知っていたはずなのに。
私もそのコミュのスタッフの一員だったので、 コミュのオフ会の打ち合わせで 主宰と個人的に電話したりするのを 快く思っていなかったらしい。
やがて彼女はコミュを去り、 そして、みんなの前からも消える。
一時は鹿児島に戻ってきて、 しばらくは彼女側についた人たちと交流していたけれど、 結局その人たちからも離れ、鹿児島からも去り、 そして今はどこにいるのかすら誰も知らない。
そんな彼女から届いていたメール。
「さっちゃんは、私のことどう思ってる?」 「一度本音で話をしたい」 「どれくらい待てば、話してくれるかな?」
それに対する私の返事が残っていないので どんな返事をしたのかはわからないが、 あの当時は彼女に関わる人間関係のことで悩んでいたから 今は話せない、時間をくれ、とでも言ったのだろう。
結局彼女とは会うこともないまま、もうすぐ3年になる。 彼女と一番親しかった女性が、 鹿児島から他県へ転勤し、 そして今春、さらに別の地へ異動になったことで、 3年近くの時間の流れの速さを痛感している。
彼女の、あるときを境にして どこかやけになっているような その生き様が彼女の身を滅ぼすことになるような気がして あのまま鹿児島にいたらどうなっていただろう そんな風に彼女を思い出すこともある。
彼女は今、どこで何をしているのだろう。 陽気な寂しがりやだから、 今日もどこかの町で、 酒と歌と仲間に囲まれて暮らしているのだろうか。
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