寂しいというので、部屋をするりと抜け出して、電話した。月がとても明るくて、夜中なのに私や木立の影が、アスファルトに映っている。瓦屋根には、月明かりが反射して、まるで薄雪が積もったかのように白い。もっと時間が経って、頭髪が白くなったころ、私達は今の私達を思い起こして、「若気の至りだったねえ」と、思うのかな、と。そんな、話をした。[ちょきこ]