責任 - 2008年05月06日(火) 夜間救急の外来当直。 午前2時、不安焦燥感で救急搬送されてきた30代男性。当院は初診。 ずっと以前から「うつ病」で他院精神科に受診していたが、その間に精神賦活作用のある抗うつ薬複数の依存症になってしまっていた。1日何十錠も服用してはハイになって無駄な買い物を繰り返すけれど、薬が切れると救いようのない落ち込み感に悩まされる。ハイの時に消費者金融に借金を重ね、そのこともあってさらに抑うつ的になっていた。 時間をかけてじっくりと話を聴いていると、徐々に落ち着いてくる。 自分は誰かと一緒にいないと、不安で不安で、もう死んでしまった方がマシなのではと思える、実際にはとてもできないけど、と話す。 万が一、危ないことがあってはと入院を勧めたが、以前精神科に入院したときの印象があまりにも悪く、もう二度と入院はしたくない、という。 絶対に自殺はしないと約束してくれる。 それではと強い不安に対して、精神安定作用の強い、抗精神病薬を頓用することにした。 GW明けにすぐかかりつけ医に受診できるよう、救急受診したことと処方を報告する紹介状を用意した。 もしもまた不安になったら、いつでも待っていますから、と伝える。 結局、親しい友人が彼を迎えに来てくれ、処方した頓服を1回分服用して、彼は笑顔で帰っていった。
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