股・戯れ言


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過激恋愛依存症アトラクション

久々に純粋・読書読み日記(この日記のカテゴリは旅ではなくて、実は「読書読み日記」なのですよ)をしたいと思います。
私は前評判が悪いものに関しては徹底して読まず嫌い・見ず嫌い・聞かず嫌いをしていたのですが、そういう度量の狭さイクナイ!と思いまして、
「読む前からイヤな予感がしてたが、読んでみたらさらにイヤな気分になるんだろうと思われる本を読むキャンペーン」を行うことにしました。
悪循環なキャンペーンだな。しかし、読んでみたら案外おもしろかったということもあるかもしれないので、これはいわば未知の世界への冒険なのである。

ルール
1.「話題になった/話題になっている」作家の本を選ぶ
2.古本屋で200円以下で購入する
3.どんなにつらくても最期まで読む


そんなわけで第一回目にチョイスされたのは「桜井亜美」。
前評判によると
「援助交際、近親相姦、集団レイプ、オヤジ狩り、引きこもり、エイズなどさまざまな状況に置かれている人間の恋愛がよりリアルに描かれている。」
「現代の若者の日常を切り取った様な生々しい世界と美しい言葉で綴られる恋愛。」
わたくしも一応、現代人なので心して挑みましたよ。
「イノセントワールド」が一番有名らしいが、古本屋で見つけたのは「トゥモロウズ・ソング」というやつだったのでそれを読んでみました。表紙写真が蜷川実花。ぬかりねぇな、という印象。

で、読みました。
安い。
この一言に集約される。
まず本の薄さと字の大きさに驚いたんだけど、それ以上に中身のなさに驚愕でした。
なんつっても主人公が「高校に行ってなくて、ヴィヴィアンの服が大好きで、クスリをやりまくって、サイケトランスが大好きで、テレパシーがあって、高層マンションに住んでいる」17歳の女の子で、相手の男の名前は「シド」(!)(17歳ホスト)ですから。
んでこいつらセックスばかりしてて、マンション工事現場を「あたしたちの記念日ィー」とかなんとかいって爆破(!!)しちゃったりする。そいでエイズ検査薬をふたりで同時に試したらエイズに感染していることが判明。
主人公の双子の姉は拒食症の引きこもりなのに、クラブで踊ってたりして、しかもそいつの彼氏は盲目のDJ(!!!)で同棲してんの。で、姉は死にかけて部屋には植物がイッパイ。姉の心の優しさで植物がスクスク育ってるとかなんとか。姉の心を閉ざした人物は中学の教師なんだが、とんでもない美貌でこいつが姉を妊娠させ、殺しかけたらしい。
んで、自分のテレパシーを使ってその復讐をしようとする。
テレパシー軍団(率いるのは盲目DJ)が協力してくれる。
美貌教師もテレパシーを持っていた(!!!!!)
んで、闘って、最終的には双子の姉が美貌教師をやっつけてシドが迎えに来てチャンチャン。エイズについては言及ナッシング。



野島伸司原作なのかと思いました。過激に次ぐ過激。
どこらへんが生々しい世界なんだろうか。というか、これは「生々しい想像」なんではないのか。テレビや新潮45なんかで「少女たちの乱れた実態」とかいう特集がよくやっていますが、そういうところで手垢まみれの知識人の方々が振りかざす「いわゆる無秩序」ばかりだなーこりゃ。
「援助交際」に重きをおくというあたりが顕著だな。
実際に援交やってたとしても、高校生内ではどうってことない「日常」で「アタシ、援交やってるから非日常のヒロイン!」なんて思ってる子はいないわけだ。
時がたって本人が「あれはよくなかった」と思わなければ非日常ではない。(まあ、これは援交に限ったことではなく、不倫でも離婚でもやってる本人が過剰に非日常/ドラマチックだと思ってたりするのも一緒だ。日常であれば問題はない)
過激=ドラマチック、ロマンチックという価値観がもうすでに「ありえない」んだよな。
「ありえない」のならば、ありえない話書いてみましたーね、ありえないでしょ?くらいの心持ちが欲しい。「ありえない」をエンターテイメントとして見せてくれているならば「ね?ありえないでしょ?」という心持ちがなくても結構だ。
この作家の場合、「ありえない」をエンターテイメントではなく、「うっとり」に着地させようとしている魂胆がミエミエで鬱陶しい。ロマンチック過激派。文字通り吐き気がするほどロマンチックですよ。

で、さらに問題なのがほんとに「うっとり」しちゃう10代の少女がいたりすることだ。
私が10代の時は野島ドラマ最盛期だったので、「未成年」やら「高校教師」やらを見ては次の日学校で話題にするということが日常茶飯事であったが、決して「うっとり」していた子はまわりにはいなかったな。「今週、またすごいことになってた」「どこまで過激化してくんだろう」「こんなの実際にないのにな!」(うちの学校は女子校だったもんで)という着眼点で話をしていた。具体的に言えば「反町、胸ペンダントに銃弾が当たって死ななかったのはないだろー」というようなことだ。
そういう「うっとり見破り装置」的なコミュニケーションが周りにない人がいるということは驚きである。コミュニケーションじゃなくても、自分の中に主観的な自分と客観的な自分を配してるだけで十分だし、そうじゃなくてもナンシー関を読むなどの方法はいくらでもあるだろうに。
で、最後におくづけ見て驚いたが、桜井亜美って同じような本を20冊くらい発表してんのな。
高校の時の先生が「ハーレクイン小説ってのは、人物設定をインプットするだけで自動的にストーリーができあがるようなコンピューターを使って書かれているのですよ!」というものすごい偏見を語っていたことがあったが、それを思い出した。ライト版ハーレクインと呼んで差し上げたい。

桜井亜美の本と並行して恋愛依存症についての本を読んでいたんだが、桜井亜美で「うっとり」してしまう人はきっと恋愛依存症なんだと思うようにした。
「感覚的な出会いを好む」「デートを重ねることによって相手を見極めずにすぐにセックスしたがる」「男性の愛してるという言葉に弱い」「四六時中一緒にいないと不安になる」「相手の現実を見ようとしない」「別れる時はストックを作ってから別れる」「恋愛にのめりこむあまり私生活がおざなりになる」などなど。
そして彼女たちはきっとオナニーをしない。
今、日本に蔓延っている「すぐにセックスできること/彼氏彼女がいる至上主義」は本当に罪深い。いろいろな価値観があっていいだろうよ。

もっとも問題なのは、こういう安易なものを私が100円で手に入れたってことか。
安い。そりゃ蔓延るよ。
100円ですら払いすぎ。図書館で借りて読んでみて下さい。


話はかわるがフジロック追加決定。
ベックもフーファイもありがたいが、そんなことよりもCKBとエディ・リーダーですよ!キャー、フェアグラウンド・アトラクション大好きなのれす。こういうロマンチック(と私自身はあまり思ってないんだが)は歓迎だ。まさにパーフェクト。
2005年03月07日(月)

ブルートレイン、車上の愛(後編)

(まずは「ブルートレイン、車上の愛」前編、中編をお読みください。続きです)

ディスカバリー・ウェストのキャンペーンが盛況なのかそうではないのかはわかりかねる。新幹線内のチャイムだって鬼束ちひろの「いい日旅立ち」に変えられているくらいだから(いや、あれは山陽新幹線区間内始発の新幹線だけに限定されてるんだろうか?)力の入れ具合も相当なものなんだろうということはわかるのだが。
なんにせよ、私にとってはこれが初の西日本横断の旅である。通過するだけで滞在はしないんだけど。
西日本はトンネルが多いという話は聞いていたが、それは新幹線に限った話なんだろうと思っていた。実際のところは、在来線も結構トンネルを潜る。いや、よく考えれば東日本の在来線だってトンネルを潜る回数は多いのだけれど。
この旅の間、トンネルを潜れば潜るほど「夜汽車のブルース」が頭をよぎった。あーなんかいいこと無いか、そう、なんかおもしろいこと無いか、、、いや、今、コレに乗ってることが一番おもしろいことだよエンケン!と言いたい。
とりわけ徳山だか新岩国だか(名前失念)で新幹線乗り換え客がどっと降りた後の「はやぶさ」は貸切具合が増して愉快でならなかった。
食堂車に出てみる。今は食堂ではなく、ラウンジとして使用されているのだがそこの客のまばらぶりといったら!ああ楽しい。ああ愉快でたまらん。
温泉にせよ食堂車にせよ飲み屋にせよ、私は「貸切状態」が好きで好きでしょうがないのである。貸切状態の快楽は夜中の会社でも味わうことができる、もっとも身近なんだけどもっとも「ラッキーじゃないと遭遇できない」快楽だと思う。
しかしこんだけ貸切状態だとステーキでも食いたくなるぜコンチクショー。
朝であるから、腹が減ってきたのである。車掌のアナウンスが入る。
「下関駅で5分ほど停車いたしますので、そちらで駅弁当をご購入ください」
ああ、もうすぐ下関なのか。
どんどん本州の一番端っこに近づいているのか。ホントに遠くにきたんだな私は。沼津も茨木も遠い昔のように思えてならない。まだ半日くらいしか経過してないけど。
下関に来たのだから是非ともふぐ関係の駅弁を食いたいところだ。朝からふぐ寿司とはステーキばりに豪勢だな。値段だって結構張るだろうに。いや、ここではつつましい駅弁を食べといて、九州に入ってからうまいもんを食いまくったほうがいいんではないか。

などと考えていたのは杞憂で終わった。
下関駅に着いた途端、電車を飛び出した車掌や駅員たちが走り回って慌てだす。

・・・売店がお休みのホームに停車してしまったらしい。

駅員の人たち、皆「あれ?」とか言ってやんの。
「あれ?」じゃないだろうよ。
てか休むなよ。
かといって反対側のホームにある売店もとても営業を行っているようには見えない。地方ローカル線駅の悲劇。シンカンセン・キルズ・ローカル駅スター。勇気ある老人は猛ダッシュで隣のホームまで弁当を買いに行ったようだが、限りなく何もないホームから眺める朝の下関の風景に侘び寂を感じてしまって、とてもダッシュなどをする気にはならなかった。
昔はこの駅から上京する若者も多かったことだろう。
人の移動が早くなり、あらゆる意味で「去る」ことだけが多くなっていく。駅だけが残される。やがて老いていく。忘れられていく。必要とされなくなる。「会いにくる」ことがなくなる。終わる。そんな風に時間が過ぎていく。
この駅を毎日決まった時間に訪れ続けた夜行列車「あさかぜ」はかなり老朽化した列車なのだろう。乗る人もだいぶ少なくなっていたはずである。
それももう3月になったら訪れることはない。
とても哀しい。
が、私だってこの駅をこの線で訪れることはもう二度とないのかもしれないのだからそんなこと言えた義理ではない。
でもいつか来ようと思った。出張にせよなんにせよ。
本州の終わりはちょっぴりさみしい。

そんな感傷に浸っている間もなく、海底トンネルを越えた列車は九州に辿り着くのである。
小倉。おぐらではナイ。
九州で小倉ですから、気分はすぐに切り替わって俺脳内は「シャウト・トゥ・ザ・トップ」でいっぱいになるのである。字面からのみの連想だけど。
軽快なリズムが頭に充満するくらいだから、小倉駅は下関とは打って変わってホームに人が結構いるのである。それなりの栄えぶりなのである。
なんでかしらないが南国の陽気な空気を感じる。これがめんたいの本場なのかとか思う。どこかに鮎川誠のようなオッサンがたくさん居るような気がする。
そんなことを思っているうちに時刻は11時30分過ぎ。
なんと、2時間35分の遅れということである。
3時間遅れていたはずだからどこかで巻き返したのだろうけど、それにしても2時間35分の遅れとは!とりあえず2時すぎには熊本に着いてくれるらしい。それだけでもありがたいと思うようにしよう。
食堂車で見かけた老夫婦は「ナイスミドルパス」(65歳以上は格安の周遊券)を使っている様で時間はあまり気にかけていないようだった。羨ましい。
時間に追われない生活をしたいものである。あ、俺が時間に追われるのは時間ギリギリまでダラダラするからだった。

畑や工業地帯の多い地域を通り抜けて、列車はだんだん街に近づいていく。
博多である。
長かったー!新幹線ならば6時間、飛行機ならば1時間半くらいで辿り着くのに18時間である。本来ならばもう熊本に辿り着いている頃だろうに。
腹も減ってきた。イライラが募る。あとどれくらいでたどり着くのだろう・・・と考えている私の視界に飛び込んできたのは、博多駅のホームで奇声を上げるガイキチの方でした。カーテンをそっと開けてホームを見ていたんだが、カーテンの向こうに人がいることに驚いたらしく、アピールするように騒ぎ立ててくる。こわい。窓を手で叩かんばかりの勢いだ。ああ、こっちは博多駅着いた記念にホームを写真で撮りたいのに!
写真を撮ろうとするとそこに写ろうとしてくるので、車両を変えてなんとか撮影をした。ホントは「博多」という表札が撮りたかったのに、かろうじて撮れたのは「めんたい」と書いてあるキヨスクだけであった。とほほ。

博多を過ぎると、実は鳥栖、久留米、大牟田、熊本という停車順らしいのでそんなに遠くはないのであった。長い長い旅もフィナーレは近い。
しかも鳥栖では東京から長い間連れ添ってきた「さくら」(長崎行き寝台特急)とはお別れとなる。長崎までの道のりはこの後も長いんであろう。そんな長崎行きの寝台特急も今(2005年3月現在)はもう走っていない。いつか乗るからね〜と思いながら鳥栖で別れていったんだが。
切ないなあ。
話は戻るが、鳥栖に着く前に車掌さんがまた回ってきて、「駅弁、どこでも買えなかったんで、鳥栖で買えるようにしましたから」と言われた。
オイオイ、鳥栖でメシ買っても熊本まですぐだろうよ。と即座に思ったが、せっかくなので鳥栖で弁当を買うことにした。
が、鳥栖ってなにが名物なのかわからにゃい。困った。
字面だけで勝手に鳥モノがうまいのだろうと判断し、どこでも手に入りそうな鳥そぼろ弁当で手を打ってしまった。
しかし、同じように寝台を降りて弁当を買う人を見るとなぜか皆うどんのようなものを買って車内で食べているではないか。テイクアウトうどん・・・?なんでそんなにうどんに群がるの?そもそも鳥栖駅の弁当売り場も「駅弁」とは書いてなくて「うどん」って書いてあるし。
その後オオツボさん(佐賀県出身)に教えてもらったんだが、鳥栖駅のうどんはそれはそれは有名なモノなんだそうだ。
知らなかった・・・やっぱりリサーチは大事ですね。

さてホントに最後のグランドフィナーレである。
晴れた空、山の向こうに見える海は有明海・・・20時間かけてここまで良くたどり着いたなぁ、と思うと涙が自然に溢れてくる。よく頑張った、俺。
ここ最近で一番何かを成し遂げた気がした。途中で諦め(=新幹線乗り換え)なくてよかった・・・

などと思うことはなく、もちろん涙なども流してなくて、鳥そぼろ弁当をこぼしたり食べたりしているうちにあっけなく熊本に到着してしまった。
時刻は14時50分。
出発したのが18時9分であるから、20時間40分の旅であった。
たぶん今後、私が南米にでも行かない限りこんなに長い移動をすることはないんじゃないだろうか。
そして熊本駅下車後は、駅直結のJR九州直営ホテルに宿泊だったのでらくちんでした。ちゃんと作業前に風呂も入れたし。

熊本行くまでがいろいろなことがありすぎたので、熊本で起こったことはそんなにたいしたことなかったな。ただ、翌日客先に直行せざるを得なくなったため、熊本でスーツ買うハメになってしまったけど。

帰りは言うまでもなく飛行機でした。早かったです。
眼前に広がる九州と四国が美しかった。


またいつか、寝台列車に乗りたい。
それまではもう、どの路線も潰れないで俺を待っていて欲しい。
必ず経費で乗るからな!
今度乗る時はちゃんとコルトレーン持ってくから!



ああ、うまくまとめたかったのにタモリ倶楽部の空耳アウォード見ながら書いたからくだらなくなってしまった。後に書き直すかもしれん。
2005年03月04日(金)

ブルーフォレストシンドローム2とウオモコンプレックス

「里谷多英、六本木のクラブで下半身丸出し」

こういうスポーツ選手のハメをはずす(実際はハメてたわけだが)系の話を聞くたびに私の頭の中をよぎるのは、小池一夫大先生の「傷追い人」だ。
そう、一流の女優、俳優、一流のスポーツ選手をすべてポルノ俳優とみなし、そいつらを使ってポルノ映画を作りまくるというスケールでかいんだか小さいんだかさっぱりわからんあの悪の組織「GPX(ゴッド・ポルノグラフィ・X-rayフィルム)」はホントに存在してもおかしくねーなーと思うんだよな。ちなみにどっかの大学の野球部の選手がホモビデオに出てたと聞いたときも「さすが神の作りしポルノ」と思ったものである。

それはともかく、「ブルートレイン 車上の愛」シリーズ書き中ではございますが息抜き文章をば。ブルートレインもさることながら、書かなきゃならない旅日記が溜まってるわ。
で、昨日も東北に行ってきたのだが、その間に「俺の好きなバンド10個」というものを考えてみた。10個で収まりきるわけがないし、「ああ、これも忘れてた!」ってのが続出すること必至だったのに、とりあえず算出してみることにした。

ダイナソーJr./Jマスシス+フォグ
セバドー
スーパーチャンク
ガイデッド・バイ・ヴォイシズ
アーチャーズ・オブ・ローフ
ハスカードゥ/シュガー
マシュー・スイート
スリーター・キニー
ロイヤル・トラックス/ニール・マイケル・ハガティ
ソニック・ユース
うる星やつら

あ、11個になってしまった。
んで、考えてみていつも気づくんだが、「ピクシーズ」が入ってないのです。ピクシーズは聴くとすんごくすんごく好きなのだけど、なんでなのかはよくわからないが思い入れを持って聴いた記憶が殆どないのである。なんでなんだろーなー。
キム・ディールなんか物凄く影響受けてるんだけどな。フランク・ブラックだって好きでたまらないんだけどな。
でもピクシーズ知った時は、シュガーを物凄く聴いてた時期だった気がする。何の手がかりにもならないんだけども。
そして意図的にアメリカのバンドで固めてみた。ティーネイジファンクラブとユージニアスを滑り込ませることができなかったのが口惜しい。ってうる星やつらはグラスゴーのバンドなんだけど。これだけは外せないな。愛しているといっても過言ではない。

話は戻るが、「これ好きだったらこれも好きなハズ」というのはよくある話で、漫画や映画でも当てはまる。しかし不思議にも「いやーあんまり思い入れないんだよねそれは」ってのって多くないでしょうか。
私の場合は小池一夫大先生の話が好きで堪らないのに、どういうわけか梶原一騎は「あしたのジョー」しか読んだことがないのです。思い入れ皆無。格闘技やプロレスが少しでも好きならば、梶原一騎はマストでしょう、というのが世の通説ではあるが、なぜか全然思い入れがないんだよなー。なんでなんだろーなー。
これも前の日記で唱えた「ブルーフォレスト・シンドローム」の一種なんだろうか。
ちゃんと読んでみたいのになー全然縁がないな。不思議だ。

話は逸れる。
というか「マストでしょう」で思い出したんだけど集英社から新創刊された「UOMO」という雑誌は何がしたいんでしょうか。ウオモ世代とか言い出すんだろうなそのうち。メンノン→スパ!→ウオモ、という雑誌世代遍歴が生まれるのかと思うとやりきれないな。
だいたいウオモって「レオン」が標榜する「コヤジ」(おしゃれなオヤジって意味らしいが、なんちゅー言葉だ)あたりを想定してるんでしょ。ああ、いやだいやだ。モテる40歳とかいう特集が蔓延って、「40歳の恋愛白書」とかいう名の不倫自慢大会とかが始まるんだきっと。年齢が上がっただけの、ホットドッグプレス世代が世にたくさんいることが暴露されてまう。キケンだ。(いや、メンノン世代なんだけどなんとなくホットドッグプレスといいたくなった)
そもそも、ウオモという名前も大体どうなんだ。魚藻?
実際の40歳くらいの人はきっと魚民なんかにたくさんいるだろうから、その辺を皮肉った名前なんだというくらいに受け止めておいたほうがいいんだろうか。
しかし見たくねぇよ、ハウ・トゥ・不倫学とか。吐き気がするわ。
2005年03月03日(木)

ブルートレイン、車上の愛(中編)

満を持してブルートレインに乗車した私の目の前には、憧れ続けたベンチシートがあった。毛布とシーツと枕と浴衣(!)がきれいに畳んで置いてある。
ディス・イズ・旅!そう思った。
ベンチシートは横になっても十分余るほどスペースがある。おまけにカーテンを張り巡らせれば立派な個室だ。ライトもつけることができる。完璧だ。
夜行列車に住むことだって可能じゃないか、と思った。
しかしいきなり横になるのも勿体ない気がしたので、毛布の山によっかかって座り、出発の時を待つ。もう頭の中は銀河鉄道999のイントロでいっぱいだ。
ブルートレインと聞いて、頭に描くものは2つある。
ひとつは先にも述べた銀河鉄道999。星野鉄郎似の顔面を持つ私としては、ポンチョ持参なのである。乗車した途端に羽織りました。
もうひとつはドカベンである。ブルートレイン学園。あそこのピッチャーは隼だったな・・・そう、私が乗っているのも熊本行き夜行列車「はやぶさ」なのだ。なんたる偶然!なんたる幸運!
ワクワクしているうちに発車。あっけない。
ウェル歌夢・トゥ・17時間の旅・・・

17時間の旅といっても、東海道線のレールを使っての旅なので、品川、横浜、大船という道順に目新しいものはない。なので、横浜過ぎ頃には知らず知らずのうちに眠りについていた。
目を覚ましたら沼津。小田原や熱海はとっくに過ぎていたらしい。
大学の頃、なんとなく授業出るのがイヤになって東海道線で沼津まで行ったことがある。大学とは無関係の友達を誘ったら130円切符を買ってついてきたんだった。(私は定期使用)沼津なんて遠いなーもうJR東日本管轄じゃなくてJR東海管轄だよ、わーずいぶん遠くまで来たんだなーなどと大騒ぎをしたものだが、それから5年。沼津は遠いところではなくなっていた。私が目下目指しているのは熊本なのだから。
ちなみにこの沼津旅は帰りの列車がテキ屋夫婦との相席で、そのテキ屋夫婦の話すヤクザ話がおもしろくてたまらなかった。旅はいろいろな人との出会いといろいろなアクシデントとの出会いだと心から思う。
熊本に行くまでに出くわすアクシデントは一体どのようなものなんだろうか。

などと呑気に思っている場合ではなかった。
沼津を通り過ぎ、静岡を通り過ぎ、順調に進んでいくはずの「はやぶさ」がなんでか知らないが菊川という駅で停車した。
あれ、この駅で停まる予定はなかったんではないのか?ベンチシートにすっかり横になっていた私は頭を上げて窓の外を見た。雨が降っているようで、ホームでは高校生がふざけあっている。田舎の駅は電車がなかなか来ないからね、そりゃ待ち時間にふざけあいもするわな、などと微笑ましく思ってから5分、10分、20分・・・動かない。電車が前に進もうとしない。
なんでだよ!
コレ特急だろうよ!
いやーな予感が立ち込める。不貞腐れて買ってきた本を読み始めることにした。本のタイトルは「妻は多重人格者」。なんでこれを選んだのかはよくわからない。別に24人のビリー・ミリガンや5番目のサリーや多重人格少女ヒロ(別人格の名前がヤンキーとかビジュアル系好き女の当て字っぽくて胡散臭かった、すぐアニメ声出すし)が好きというわけではない。適当に時間が潰せると思っただけだ。
読んでいるうちに放送が入る。
「磐田駅で起こりました人身事故の影響で、しばらく停車になります」

しまった。
新幹線に慣れた我が身はすっかり忘れていたのだった。
「寝台特急はローカル線と同じ線路を使っている」ということを。
つまり踏み切りはそこかしこにある。つまり踏み切りに置石をするバカだっているし、「ラスト・ソング」のように線路の上を歩くバカだっているんだった。
どこのバカが電車走行を妨げるんだよ。恨めしい気持ちになる。
「妻は多重人格」を読んでも読んでも電車は動きそうにないので不貞寝をする。起きる。不貞寝をする。起きる。読む。タバコを吸う。寝る。起きる。
・・・こんなにいろんなことをしてもなんで動かないんだよ!
イライラが募る。自分がせっかちであることを自覚する。
気がつけば窓の外でふざけていた高校生の姿も見えなくなっている。ああ、反対方面は動きだしていたのか。それもとっくの昔に。

電車が再び動き出したのは約2時間後のことだった。
本も終わりぐらいまで読んでしまった。磐田駅を通り過ぎると、駅の周りにはパトカーや救急車が止まっていた。何があったかは知らない。確実にいえることは、11時30分熊本着だったはずなのに、到着は13時30分以降にもつれるということだ。
作業は16時45分からだが、もしかしたら間に合わないかもしれないじゃないか・・・!
頼む、遅くとも14時までには到着しテー。(なぜならば作業前に風呂に入りたくてたまらんからだ)

そんな気持ちに駆られながら、いつしか深い眠りに落ちていた。
浜名湖を通り過ぎたことも覚えてないし、セントラルタワーの下を通過していったことも覚えていない。
名古屋までも在来線で行ったことがあったが、その時の背中・腰・尻の痛くなり具合といったらたまったもんではなかった。横になれるというのは偉大なことである。さっきも書いたが、私が在来線線路をたどって目指しているのは熊本なのだ。名古屋よりもうんと遠い。横になれてナンボである。

次に目が覚めたのは、真夜中の3時ごろだった。
どこを走ってるのかもわからないくらいの真夜中である。もう神戸辺りだろうな、と思ってしばらく窓の外を眺めていた。なぜ神戸辺りだと思ったかに根拠はないんだが、ぐっすりと眠ってしまったので関西を通り過ぎるくらいだろうと思ったからだ。というか、2時間の遅れを巻き返してくれてるだろうな、いろんなところを足早に通り過ぎてくれただろうな、という寝台列車に対する脅迫みたいな気持ちがあったのだ。とりあえず進んでくれ。停まらないでくれ。ウォーク・オン・バイー、ウォーク・オン・バーイ〜とヒュー・コーンウェルばりに心の中で叫び続ける。心臓がジャン・ジャック・バーネルのベース音のようにブンブン唸りださんばかりの勢いだった。

しかし、そんな私の期待も空しく、列車が通り過ぎた駅は「茨木」。
ああ、大阪にも辿り着いてないンだね、この列車。
泣きたい。
アイ・ジャスト・ウォント・トゥ・クラ〜イ、ウォーク・オン・バ〜イ〜ウォーク・オン・バ〜イウォーク・オン・バ〜イ
という部分が脳内エンドレスになったのは言うまでもない。

と思っていたら大阪駅から乗ってきたのか、それまでもずっと乗っていたのかは定かではないんだが、乗客の女性が小声で車掌に話しかけている声が聞こえてきた。
「この列車、3時間遅れてるってことは、振替乗車できますよね?どっかの駅から新幹線に振替乗車して欲しいんですけど」
大胆な話だ。振替乗車は電車事故の場合はよくある話だが、在来線から新幹線に乗り換えて。すごい申請しているな、としばらく感心していたのだが、途中である事実に気づいてハッとする。
3時間遅れてるってことは、11時30分の到着が14時30分の到着になるってことではないか。
作業先が熊本駅から近いのか遠いのかだって定かではないのに、16時45分に間に合うのかコレ。間に合わなかったらどうなるんだ・・・間に合わなかった理由が「夜行列車で熊本に向かってたから」なんてことになったら大変だ。「だから飛行機で行けって言っただろうよ!」というみんなの声が聞こえる・・・みんなの痛みを感じる・・・正確には「オマエ、ホントにイタイ奴」と思われるのを感じる・・・
次に無感覚になる。単にすぐ眠くなったので、考えずにまた寝てしまっただけなんだが。

再び目が覚めたときは、空が白んでいた。
夜が明けたのか。夜が明けたら、一番早い汽車に乗って・・・
って、もう乗ってるしな。
と浅川マキの曲に心の中でツッコミを入れて、ここがどこなのかをまず考える。
進行方向から右手には山、そして左手には漁港らしき海が広がっている。造船所の煙突のようなものもちらほら見える。
山のふもとの街には急な階段がたくさん見えた。
・・・尾道だ!
これが尾道なのか、と思うと感慨もひとしおだった。しかも夜明けという最高のシチュエーションだ。瀬戸内海というと夕日が美しいというイメージがあるが(実際、高松に行った際に夕暮れの瀬戸内海をわたった事があるが、心の中でG線上のアリアが鳴り響いたほど素晴らしい景色だった)、朝日だって十分麗しかった。
夜行列車に乗ってきてよかったなと思う。夜行列車に失望しかけていた自分を恥じる。さよならそんな俺!

そして再び眠りについたのだが、ほどなくして車掌が「新幹線に接続しますんで、お急ぎの方はお申し出てください」と回ってきた。新岩国だか徳山だかで新幹線に乗り換えてもかまわないという。
尾道を見る前までは新幹線に乗り換える気マンマンだったのだが、もうここまで来たらこいつに乗って熊本まで行ってやらぁ。落ち着いている人間ならば新幹線に乗り換えるのが得策だろうし、俺もそろそろ落ち着く年齢にきてるのはわかっているのだ。
だけどだけども人生は長いじゃない。そう、夜行列車で行くあの街はきっといいよ。そう思った。いつだって身軽な俺じゃないか。
このままウォーク・オン・バイすることにした。

つづく
2005年03月02日(水)

拝啓 T駄くん

お元気ですか?
まだ読んでくれてますか?
カリスマダメ人間もついに三十路ですね。
おめでとうございます。今度是非祝わせて下さい。貴方が会社帰りに行きつけだったマン喫で祝杯を上げたい気分でイッパイです。
ところで毎年恒例の「同期ダメ人間のライブを見る会」(2003年度Jマスシス、2004年度ベル&セバスチャンつーかユージンケリー)、今年はお休みかと思ってました。
が、休んでいる場合ではありません。
フジロックに行きましょう。
むしろフジロックで再会しましょ。
俺たち90年代の申し子のカリスマ、Jマスシスが来るよ!しかもダイナソー名義だよ!
マーキュリーレブも来るよシガーロスも来るよポーグスも来るよビーチボーイズも来るよ(あ、このへんはまにさんにも伝えたい衝動)
ジュリエット・ルイスも唄うらしいぞ。

行くぞ!行くぞ!T駄君。
詳細はこのへんだ↓
http://fujirockfestival.com/index.asp

カリスマダメ人間兼カリスマインドアリビング(スーパーチャンク風)な貴方のことですから「3日間野外はつらい」などと言いそうですが、そんなこと言ってる場合ではありません。「有給もう3日しか残ってないや」とか言われそうですが、そんなこと言ってる場合でもありません。
むしろ病欠推奨。
お返事お待ちしております。

ヤツザキより
2005年02月27日(日)

ナゴヤン・コーリング

携帯が壊れていて、ネタ・戯れ言(http://blog01.yapeus.com/users/maaa55/)が更新できないのでここで手短に。
「ネタ・戯れ言」に書いたのだが、寿がきやが東京に再進出したのはいいのだが、妙ちくりんなアーバン感というかいらん色気を出しやがって「普通のままでいいのに何気取ってン(小池一夫イズム)だよ」と腹が立ったのだった。その時から嫌な予感はしていたんだ。
で、実際に名古屋出張行ってきた。本場は寿がきや東京進出なんかより深刻な事態に陥ってましたよ。
ストップ・ザ・名古屋好景気。語弊があるな。名古屋をおだてて持ち上げるの禁止!だな。テツアンドトモやはなわやダンディ坂野やギター侍のように「一過性のブームで持ち上げてあとは放置」にされるんじゃないのか名古屋。芸人と街を同じ扱いにしないでくれ。
幸いにも私が今回の出張中にお会いした名古屋人の方々は「まあ、名古屋名古屋って外が騒いでるだけで今がピークであとは下降線辿っていくでしょうねぇ」と冷静に受け止めているようだったので、事態はまだ深刻にはなっていないのかもしれん。いや、名駅(笹島の国鉄跡地?あたりも含む)の変貌ぶりや街の変貌ぶりはなんか無理してる感じがしてよくなかったよ、やっぱり。名古屋は名古屋のままでいいのになー。やる気なんか出さなくていいのに。
かつて付き合っていた時に「気取らなくても、貴男のいいところ、私がわかってるわよ」って評価していたのに、別れて数年ぶりに会ったらその「私がわかってる貴男のいいところ」を闇雲に振り回してる男に、「さりげなきゃ意味ねえんだよ、そういうとこ武器にしたら終わりだろ」「てめえ調子乗りすぎ」と言いたくなるような気分だ。なんで私は常に都市を擬人化するのだ。わからん。
その気分が最高潮に達したのは、太閤口横の土産屋がキレイになっており(昔の売店感ゼロ。あんまきの黄色い看板の屋台が出てたりしてたのに!)、ふらふらと入ったら名古屋みやげ「納屋橋まんじゅう」「大須ういろ」「坂角せんべい」に並んできれいに箱に入った「藤田屋の大あんまき」を見た時。
黄色い屋台で売るもんなんだよそれは。
あと、鬼まんじゅうまでもが「新名古屋名物」とか書かれてきれいに箱に入って売られてやんの。ああいうのはナフコとかで買うんだよこんなとこじゃ買わねえよ。

ああ、何書いてるんだかわからん。とりあえず名古屋を「名古屋、調子乗りすぎ」とか思いたくないんで、この妙ちくりんなブームが早く沈静化することを祈るばかりである。
2005年02月25日(金)

ブルートレイン、車上の愛(前編)

旅が好きだ。どこかに行くことが好きだ。電車が好きだ。
車窓から眺める流れる風景が好きだ。
昔は全速力で進行方向と逆方向に走り去っていく電信柱や店や巨大ビルや人々が不思議でならなかった。去っていくヒトやモノをどうしても目で追いたくて座席に膝立ちになって外を必死で眺めてた。靴が座席に乗るのでどうしても親に怒られた。電車に乗り、座席を見つけたらすぐに靴を脱ぐ子供になった。
それが地下鉄で高円寺に行くまでの話。地下鉄なので大半は真っ暗な風景が続くだけであったが、暗闇の中を等間隔で次々にヒュンヒュン流れていく光が気になってしょうがなかったのだ。ゲームみたいだった。

電車の中の人々を見るのも好きだ。
こちらはすべてが心地よい光景ではない。とりわけ私が忘れられない光景は、中央線内で見かけた浮浪者のことである。くさかった。電車と電車の継ぎ目でしょんべんをしていた。ほどほどに混んだ車内で3人がけの座席を一人で独占していた。親はあんまりジロジロ見るな、と言ったが見ないわけにはいかなかった。汚い、とかそういうことではなく、「こんなの見たことない」と思った。興味津々だったのだ。他にも電車の中で「全員食っちまえばいい・・・まさか怖いとか言わないだろうな」と独り言を呟く大学生男子や知らないおっさんの尻ポケットに手を突っ込み、財布を抜こうとしたが「入ってねえのかよ」と舌打ちして去っていったギャルを見ないわけにはいかなかった。
電車はいつでも「見たことのない光景」を私に提供してくれるツールだった。
今でもそれは変わらない。
今、私は出張で全国を回っている。車窓からの光景は、いつだって知らない土地の、様々な季節の、あらゆる時間帯の姿である。飽きることはない。うっかり寝てしまって、起きたら目的地であったという時などどんなに後悔することか。もっとも、電車の中で眠る心地よさも愛さずにはいられないのだが。

この日記に書こうと思って長いこと書いていなかったのだが、去年の11月、私は熊本に出張に行った。私にとっては修学旅行以来の九州である。
修学旅行は新幹線で行ったのだった。すなわち新幹線で6,7時間の旅は既に経験済みなので苦ではないということである。
というわけで考えられる経路は
1.新幹線
2.飛行機
3.在来線
となる。賢い選択は2の飛行機であろう。しかし私の中では3の在来線しかなかった。在来線というと語弊がある。在来線というのは夜行列車のことだ。
夜行列車が結構な値段をすることは知っていた。通常の乗車料金に加え、特急料金がかかる上に、更に「車内に一泊」ということで宿泊料金がかかるのである。宿泊代、つまり寝台料金は6000円〜。高い。べらぼうに高い。乗りたくても自腹では乗れないなと思っていた。
が、今回は出張なので経費が出るのである。
しかもうちの会社は「電車に乗るのであれば領収書いらず」なのである。
ちなみに東京−熊本間の夜行列車料金は片道24670円。
そして東京−熊本間の片道航空代は28000円弱。
これはもう、乗るしかないんじゃないのか。
目の前がパーっと明るくなった。
しかし、言っても18時発の翌日11時半着という17時間の旅である。実現することはできるんだろうか。というか、17時半に仕事が終わったとしても18時に東京駅にたどり着くことは不可能なんじゃないか。そして実際に夜行列車を使って熊本に行くというのは非常にばかげた行為なんではないのか。
そう考えるとなかなか決心がつかない。
私はなぜ「世間的にはばかげたことだ」というところで迷っているのだろうか。
どうだっていいじゃないかよ。もうこの後は夜行列車を使う機会はないかもしれないんだ。千載一遇のチャンス。逃すわけにはいかん。
というわけで、某日記で「何で行けばいいでしょう」アンケートを採るなどして自分の中で「夜行列車de熊本行き」を正当化していく。

そして当日。
昼間、出先だったので帰りに本を2冊購入する。ハードカバーの本だ。
無論夜行列車の中で読むためである。
そしていろいろ渋ったが切符を購入する。係員の人に不思議がられるんではないかといらん心配をしたが、「熊本まで夜行一枚ください」と言ったら、「B寝台でよろしいですか」としか返されなかった。まあ、切符買うくらい普通な行為だしな。
その切符を忍ばせて職場に戻る。誰も私が夜行列車で熊本に行くと思っていないという状況が小気味良い。でも「あれ?熊本何時の便で行くの?」と聞かれた時にはたまらず言ってしまった。
「あ、18時9分の寝台特急で行きますわ」
皆のポカーンという顔。いい反応だ。ワンテンポ置いて「マジで?」という言葉が返ってくる。マジです。いや、自分でもマジなのかよくわかってないんだけど。でも財布に忍ばせた切符がある限り、これは今から実話になるのだ。
そして、あらかじめ想像したとおり「バカじゃねえの」という反応が地震の影響の津波のように押し寄せてくる。バカです。自分でもバカなのはよくわかっているのだ。いいんだよ、バカは承知の上で自分の人生にまだ起こっていないことを起こしたいのだ。

というわけで、17時半が終業時間ではあるのだが、「電車に間に合わないとイカンのでね」と17時15分頃には退社。一路東京駅を目指す。
品川から東京は近いようで案外時間がかかるのである。新幹線で行ってしまおうかとまで思った。東京から新横浜までは新幹線で移動したことはあるが、さすがに東京品川間はない。これをやるようになったら私も立派な新幹線貴族だろう。鉄道ブルジョワジー。まあこれこそ実現しそうにないけれど。

東京駅に着いて私が行った行動は、タバコと飲み物と食料の確保であった。なんといっても17時間の長旅である。ビールは2本買った。弁当の他にスナック菓子も買った。これから17時間の旅をするための準備と言うよりは、夜更かしをするための準備をしている気分であった。
夜更かしは楽しい。それも日本を東から西へ移動しながら夜更かしをするなんて、最高すぎる。
日本一スケールのデカイ夜更かし、それが私の夜行列車の旅に出る動機だったのである。実のところ、流れる風景を楽しむなんてのはどうでもよかったのである。
しかし現実の旅はそんな生やさしいものではなかったのだが、「ビール2本などはすぐ飲み終わってしまうんではないか」などという心配をしていたこの時点の私には知るよしもなかった。


つづく
(ブルートレイン「あさかぜ」「さくら」の廃止があまりにも哀しいので、しばらくこのシリーズを続けます。あしからず)

2005年02月24日(木)

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