娘、正しく風邪を引いている。咳に鼻水、魅惑のハスキーボイス、不機嫌。今晩はタオルを寝床に用意しとこう。備えあれば憂いなし。
明日のカーサンの歯医者は延期だな・・。年内に行ければいいや。ちょっと痛いけど。
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土曜日、娘がまたいだ三輪車を押しながら夫と三人公園から帰宅する途中、路上でバドミントンに興ずる男女に遭遇。男女って。夫婦だったかもしれない。親子ではなさそうだった。
どちらもさほど腕がいいわけでもなく(失礼)、夫と横目で眺めながら通過した。
「あの真剣さは私達にはないよね」 「なんかもうちょっとないとな」 「・・・しりとりとか」 「しかも芸人しりとりな」
「塚地!」「鈴木!」シャトルを打つたびに相方の名前を言い合うというルールでどうよ。
「板倉!」「堤下!」 「虻川!」「伊藤!」 ・・・若手手詰まり(早い)。 「大助!」「花子!」 「阪神!」「巨人!」 「洋七!」「洋八!」 「こだま!」「ひびき!」 「カウス!」「ボタン!」 「いとし!」「こいし!」
早く大阪に帰省したくなってきた。
どうやら娘は風邪を引いたようだ。「おくちがいたい」と喉を指差し、咳き込んで何度も夜中に目を覚ます。
娘の病気の場合、こういうときは「シックデイ」と言ってちょっと普段とケアが変わる。体内でストレスを感じて血糖値は高くなる、食欲が落ちて食べる量が減る、そんなこんなでインスリン量の調整が必要になってくる。
夫が行こうよと言ってくれたので、いつものN大病院に電話して車で向かう。助かる。
たまたま前夜当直だったというU先生の診察を受けることができた。ラッキー。まだ風邪の引き始めで軽症なこともあって、調整は微調整程度。一般的な風邪薬の処方箋を出してもらって帰宅。今週の木曜日には定期健診だし、割といいタイミングで風邪を引いた。
思えば退院してから初めての風邪。案外丈夫だな>娘。
ちょっとした腹痛でも、こんな軽症の風邪でも、曜日に関係なく大学病院に駆け込んで大きい顔をしていられるっていうのは、持病持ちの特権だな。有難いと思わなくては。
昨日、比較的早くに帰宅した夫が「朝刊見た?」と興奮気味。勤務先か、それとも客先のニュースか、と考えていたら、「これこれ」と見せられたのが「吸入インスリン」の開発に関わる記事だった。おお。
インスリンは皮下注射するしか今のところ手立てはないのだが、喘息の薬のように吸入できるようにする技術が、日本国内の某メーカーと某大学とで共同開発されたとのこと。おお。
開発のニュースも嬉しいが、その記事を見つけたと嬉しそうに教えてくれる夫もなかなか妻として嬉しい。別館を更新してしまったくらいだ。
ああ嬉しい、とわくわくしたのも束の間、今度は逆に落ち込んできた。
開発されたって、実用化されて娘の痛みが実際に軽減するのはまだまだ先のこと。吸入インスリンだけじゃない、膵島移植にしろ、出血せずに測れる血糖値測定にしろ、娘がその恩恵にあずかれるのはずっと先だ。
明日も明後日も、娘の指先に穴を開けて血を出して測定はしなくてはいけないし、「痛い」とごねる娘の丸い小さなおしりには注射しなくてはいけない。泣こうがなんだろうが母はしなくてはいけない。
このところ娘の病気に関しては、感情の振り子が振れないような生活を送っていただけに、振れ始めたら振り回されてしまうカーサン。なんだか悲しくなってきて、ひとつぶ涙が出たら止まらなくなってしまった。
娘に添い寝しながら、無邪気な娘のつぶやきや小さい手やほかほかの体温に慰めを求めてカーサンからくっついてしまう始末。
勝手なもんだなあ。自分が弱っているとき限定で、娘から注がれる愛情に敏感になる。いつもなら効率とか義務とかで後回しにしている、娘から「受け取る」ということで涙を止めようとするなんて。
そしてふと思う。娘も幼稚園の年長さんや小学生になったら、自分自身で測定も注射も出来るようになるかもしれない。カーサンが手伝ってやれるのは、あとほんの数年だけだ。娘はそのあと、ずーっと自分でし続けていかなくてはいけない。
発症年齢が低いということは、娘の痛みを自分の痛みとダブらせて感じ取ることが出来て、本当は幸運なのかもしれない。
本当に幸運なのは、「インスリン」という物質が既に発見されているということなんだけど。不満や愚痴はパワフルで、つい感謝は後回しになってしまう。冷静に、冷静に。
ま、たまには泣いてガス抜きするのもカーサンには必要なのかもしれない。それで明日から笑えるのなら安いもんかも。
| 2004年12月09日(木) |
三歳児健診のお知らせ届く |
保健相談所から三歳児検診のお知らせが届いた。
封筒が妙に厚い。開けてみて予感的中。尿検査の容器が入っている。 ※我が家だけピンポイントでというわけではなく、区内の三歳児は全員尿検査すべしということなのだと思う。そろそろおむつも取れているでしょうと暗に確認されているような気はする>全然取れてない。
尿検査か。糖以外にも、蛋白とか血尿とか、いろいろ検査の項目はあるんだろうけど、何の検査のためとはどこにも明記されていない。
自分自身振り返ってみても、小学生の間、年に一度は尿検査があったような気がするし、そんなに特別なことではないとわかってはいるんだけど、やっぱりちょっと引っかかってしまう。
ま、これ以上他の病気が見つかったりしませんように。
高齢者が「怖いから検査は受けたくない」という気持ちが少しわかるような気がするんだよ。もう今現在で充分。これ以上は引き受けたくない気分なのだ。
尿検査の他にも、「お部屋を静かにして」やってくれという聴力検査や、片目だけ見えるようになっているお面を輪ゴムで耳に引っ掛けて、という視力検査が同封されていた。
うーん。娘、おとなしくこなせるのだろうか。家庭でこういうのって、遊んじゃって難しい気もするが。
三歳児健診は来年1月なので、それまでに気が向いたらやってみよう。そんなことで気が向くのか>自分。
お知らせをもらってから、なんか気が重い。
買い物に出たら、以前住んでいたアパートのご近所さんとばったり出くわした。
あっちから小奇麗な親子連れがくる、ママはロングスカートにヒールのあるブーツね、なんて遠目でチェックしてたら、通り過ぎるその間際に「あれ!?」と声を掛けられて気が付いた。えーと、坊ちゃんの名前は覚えてるけど、苗字はえーと、なんだっけ?
どうしてこんな所に、と驚くご近所さんに、引越してきた旨を伝える。お互い幼稚園はどこだとか、住んでるのはあの辺だとか、元ご近所さんたちの近況を彼女に教えてもらったりした。
「○丁目なんだ」 「じゃあ例の歯医者の近く?」 「どの歯医者?」 「あれだよ、キコサマが来るっていう」 「は?どんな歯医者?キコサマ?」 「知らないのー?まだまだモグリだね、ふっ」
相変わらずである。彼女もカーサンもお互いに。
引越すときに新住所教えたよねーと彼女。すすすみません、そうでしたっけ。全然覚えが無いんですが。あのとき渡した連絡先に、こちらの新住所他を知らせてくれ、と彼女、探してみるけど無かったらごめんとカーサン。すると、じゃ、次回どこかで会ったらそのときにね、と笑う彼女。すまんのう。
ま、たいして広くない街だ。いずれどこかでばったり会うだろう。次回はもうちょっとカーサンましな格好していることを祈る。どうしてカーサンすっぴんの日に限って、フルメイクの彼女に遭遇するのかしら。
そういやこないだの週末も、ファミレスで以前のご近所さん(こっちは公園ママだ)に声を掛けられた。驚いたけど、嬉しかった。娘同士の名前が同じ音だったっけ。
悪いことは出来ません。と思いながら、自転車を漕いだ。ようやく彼女の苗字を思い出した。
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