昨日、目が覚めたら目が回った。 まだ布団の中で横になったままだというのに、ぐるんぐるんと誰かが頭をシェイクしてくれる感じ。
娘は寝ているカーサンが嫌いなので(起きなさ過ぎ>自分)、「おきてーおきてよー」と強引に小さな手を枕と頭の間に突っ込んでくる。容赦ないわー。
起きたはいいが、ぐるんぐるんは止まらない。 さすがに胸がムカムカしてくる。
座布団に突っ伏してはウトウトし、「おきてーおきてよー」と娘に起こされ、これを何度も繰り返し、午前中をなんとかやり過ごした。
なんだなんだ、昨夜のコロッケになんか入れたか? 夫は大丈夫なのだろうか。娘はピンピンしてるけど。
待ちに待った昼寝を2時間、そしたら治った。なんだったんだ。
食生活で思い当たるフシといえば、先週はファストフードを2回も食べた。 なにやらカーサン、小さくはしゃいでいたのかもしれない。一体何を・・?
自分にビックマックを頼み、娘にハンバーガーを買ったら、娘はパティを拒否したので、通算3枚もビーフパティを食べてしまった。
ケンタッキーもほぼカーサンひとりで食べちゃったしなあ。
油の取りすぎ?たんぱく質摂取オーバー?
今日は今日とて甘い物が欲しくてならないし、妙にイライラして、壁を叩いてくるお隣サンに逆ギレ寸前。くだらない思考にエネルギーも時間も費やしてしまった。
まだおきゃくさんには一週間あるはずなんだが。 早くもPMSなのか。ホルモンには勝てん。完敗だ。
日曜日、おひなさまを飾った。
娘の、というより、私の。 実家には母の七段飾りもあるが、私のは親王飾りであっというまに飾ることができて大変よろしい。
お姫様を向かって左に、桜も左に飾ったら、夫が逆だよ、という。
娘と、かこさとしの「ことばのべんきょう くまちゃんのいちねん」を読んでいて、絵と違う、と指摘するのだ。
えー、そう?関東と関西じゃ逆とかって話も聞くし、なんて言い訳しながら、どれどれ、と絵本を見ると、「さこんのさくら」「うこんのたちばな」までしっかり説明がついている。ははー、内裏様から見ての左右なのね。
はいはい、わたしが悪うございました。直したよ。
娘は内裏様が気になる様子。去年は見向きもしなかったのに。 「おしめさまー」と呼ぶ。きみと違って彼女はグーンとかつけてないと思うぞ。
日曜日の公園は、いつも行く平日の午前中より年齢層がちょっとだけ高い。
娘はぶらんこが大好きだが、今日は小学3〜4年生くらいのおにいちゃん3人が陣取っていて、てこでも動かない。
君たちさー、ゲームだったら他のところで遊んでくださいよ。
夫も一緒に公園に行ったのだが、彼は娘がおにいちゃんにどこまで要求できるのか見届けたい様子。そばに一緒にいても、声は掛けないつもりのようだ。
娘はぶらんこの横までカーサンかオトーサンの手を引いて連れてはいけるけど、おにいちゃんに直接乗りたいよーとは言えなかった。そりゃそうか。
ぶらんこに座っていたのは二人で、もうひとりのおにいちゃんはしきりに娘のことを気にしては「小さい子が乗りたがっているよ」と座っている二人に囁いてくれるのだが、娘に近い方の彼は耳を貸すどころかゲームにますます熱中している素振り。「わー、※?%が#$&※して%$&だぜー」。単語からしてわからん。
娘はがんばってけっこう長いこと粘ったのだが、結局ぶらんこは譲ってもらえなかった。
その埋め合わせをするかのように「てんべ、たべたいよー」とカーサンにくっついてきたので、手を洗いに行こう、と私が先に立って歩きだしたところ、小さい段差で見事にけつまづいて、コンクリートの地面にしたたか額を打ち付けた。ごんと鈍い音がした。
大声で泣いて、それでも泣きながらせんべいを食べ、もう帰ろうか、というとおとなしく三輪車にまたがった。
その後買い物に出た時、公園のそばの道を通ったら、「うかちゃん、こいえんおもちろかったの」と呟くのでカーサン胸がぎゅっとなってしまった。
あのとき、カーサンがおにいちゃんに声をかけて、ぶらんこ譲ってもらえばよかったよ。ぶらんこには乗れないわ、おでこにアオタン作るわ、それでも公園楽しかったのか、君は。
どうしよう、譲ってもらおうか、と迷ってたのが、カーサン悔やまれて・・いや、カーサン自身が悔しかったのかなあ。
まったくドケチなにいちゃんたちだよ・・・と心の中で悪態をつく、小学生レベルなカーサンであった。
休日の過ごし方が変わってきた。
娘が新生児〜1歳くらいまでは、平日に出来なかった買い出しやらを済ますのが第一だったんだけど、この頃平日の買い物には不自由しなくなってきたから。
それでも夫は「奥さん、本日のご予定は?」と聞いてくる。
図々しいもので、以前あんなに天の声だったその一言に、いらっとくるのだ。 たまにはあなたも考えましょう。
独身時代の金曜日の晩、私から彼にかけた電話で「明日どうする」というお決まりの台詞を聞かされた、あの頃の気分と似ている。
まあ、それはいいや。
今の一番の過ごし方は、娘と三人揃って温かい出来たてのごはんを食べること。
こないだは初めてミートローフなるものにチャレンジしたし、今日はコロッケだよ。何故か実家ではイモロッケと呼んでいたなあ。
お店で売っているのは小判型だけど、作ると俵型。
娘も「ころっけおいちい」と食べてくれたので、カーサン大満足な休日の夜。
今度は猫に小判的存在のル・クルーゼの鍋で、ご飯を炊いてみたいんだよねえ。 平日じゃ、保温がきかないから無理なのさ。
公園帰りに、ご近所のHさんとすれ違った。 カラス天狗みたいな、三角に尖ったマスクで目の下からアゴまですっぽり覆っていて、一瞬彼女と気付かなかった。 ※かくいう私も、おとといから花粉症対策でマスクをつけている。娘が私の顔を見るたび「こんこんこんこんくしゃん」と唄っては笑う。笑いが取れて嬉しい。
3月末に引っ越すことを伝えると、夕方にもうひとりのご近所さんYさんと共にやってきて、来週辺りお祝い兼送別会のお昼ご飯を食べましょう、と言ってくれた。 やや、有り難や。
引っ越す理由とは関係なく、わたしはお隣さんに壁を叩かれていることを彼女達に話した。以前いびきがうるさいという苦情の手紙を、お隣さんから受け取った、と私が思っていることを、Hさんは知っている。
お隣さんの玄関ドアには、ぴかちゅうのキャラクターと思われるマグネットが5つ6つ貼ってあるので、Hさんとの間で彼女は「ぴかちゅう」と呼ばれている。 夫婦二人だけと思われるのに、ぴかちゅうのマグネット。個人の嗜好ですからね、別にいいんですけどね。
ひとしきりぴかちゅうさん関連の、私のため息まじりの話を聞いていたYさん、「さばさんところは車に傷付けられない?」と尋ねてきた。
ああ、十円玉でぎーーーっていうの、ボンネットに30センチくらい付けられた。 でもそれは、ぴかちゅうさんとは関係なく、通りすがりのタチの悪いいたずらだと思っている、と私。ずいぶん前の出来事だし。
うちは通りに面したところに駐車しているから、やろうと思えば誰にでもできる。 ところが、Yさんの車は奥まった位置に停めているにもかかわらず、何度も被害に遭ったのだという。繰り返し、繰り返し。
新車にしてからも、傷付けられたんだって、と、話を引き取ってHさんが続けた。
そして、ぴかちゅうさんとは反対側のお隣、Aさん夫妻が引っ越してから、その被害がぴたりと止んだというのだ。
びっくりした。
Aさん夫妻に対して、そんな疑いを持っているなんて。
隣人としてのAさんは、ごく普通の感覚を持った人に思えた。 りんごやお菓子がたくさん届いたといってはお裾分けを頂き、こちらが娘の夜泣きをエクスキューズすると、全然聞こえない、わたしたち寝付きはすごくいいの、お互い様だもの、うちこそうるさくて御免、と笑顔で逆に謝ってくれた。
あの人がそんなことするわけない。
と喉まで出掛かって、私はそれを飲みこんでしまった。
目の前にいるYさんは、そう信じている様子。 Hさんは、さあどうだか、と中立的ながら、Yさんに対して同情の念を寄せている。
そんなふうなことする人には見えなかったけど、とだけ、言った。
HさんもYさんも、ご近所さんとして気持ちよくおつきあいしている。 だけど、いなくなったAさんは反論も出来ないし、彼女は善人だった、と断言できない自分ももどかしく、なんだろうなあ、少し気が重くなってしまった。
Aさんのこと、私はどれだけ知っているというのだろう。 自分はYさんに面と向かって反論できないとわかって、そんなことを考えた。
私たち家族が引っ越していったあと、誰かが「これで被害がなくなった」って喜ぶのかな、なんて冗談めかして言ったけど、HさんYさんとの玄関先トークで、私はすっかり指先が冷たくなってしまった。
わたしたちってば、憶測だけで物を云っちゃってるなあ。
憶測で物を云う。確たる証もなく。 それこそが、ご近所トーク、玄関先トークの神髄か。
人の口に戸は立てられぬとはよく言ったもんだ。はあ。
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